1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10874007
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 純三 東海大学, 理学部, 教授 (40022727)
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Keywords | 強レフシェツ条件 / 完全交差環 / グレブナ基底 / イデアル / 可換環 |
Research Abstract |
強Lefschetz条件を持たない完全交叉環の例を構成することが、本研究の課題である.反例があり得るもっとも簡単な場合は、Hilbert関数として(1,3,6,7,6,3,1)をもつ完全交叉環である.(このことは、すでに得た幾つかの結果から導かれる.)従って、3変数3次式3個で生成される完全交叉イデアルを考察することになる.もちろんこの場合、「反例ができないことを証明すること」も考えに入れている.f,g,hを3個の3元3次式とする.いま、3個の方程式を一般係数を使ってあらわせば、強Lefschetz条件を成立させない条件が係数の代数関係式として表される.実際、変数に十分一般的なBorel変換を施し、9個の斉次式xf,Xg,xh,yf,yg,yh,zf,zg,zhの「初めの」9行9列小行列式が、Borel変換の如何によらず、ゼロとされることと同値であり、これは係数の代数関係式で表される.このイデアルをXであらわす.(「初めの9個」とは、単項式に、逆辞書式順序を導入上での言葉使いである.)一方、(f,g,h)が、完全交叉環となるための条件は、終結式(Δであらわす)が非ゼロとなることである.従って理論上は、X=0とΔ=1が矛盾しないか、をGroebner基底を使って計算すれば良いのだが、計算量が膨大になり、直接的な計算は現段階では不可能である.いくつかの係数を特殊化すれば、パソコンで計算可能であるが、この場合にはすべて、X=0とΔ=1が矛盾することになり、これは、このような例外的な完全交叉環が構成できないことを示す.一方、逆辞書式順序のかわりに、正辞書式順序を使うと、Xが、不思議にも、(f,g,h)のJacobianの第1次Hankelイデアルと関連しているらしいことがわかる.
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