1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10874035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井川 満 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80028191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯崎 洋 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90111913)
西谷 達雄 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80127117)
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Keywords | 古典力学 / 量子力学 / ゼータ関数 / 絶対収束軸 / 特異性 |
Research Abstract |
これまでの研究を基に、古典力学の運動に関するゼータ函数の絶対収束軸と、その近傍における極の分布を中心的に調べた。ゼータ函数の絶対収束軸を越えての解析接続の性質はこれまで全く知られていなかった。今回、絶対収束軸の座標が正である、との条件下ではあるが、ある正の幅をもった領域があって、そこにはゼータ函数の特異性はない、との結果を示すことが出来た。 その中心的アイデアは、いくつかの凸な物体の外部における量子力学が持つ基本的性質に結びつけることである。量子力学の運動を表す生成作用素は自己共役である。これは、領域の如何に関わらず成立する基本的性質である。しかし、もし、古典力学の運動のゼータ函数が絶対収束軸に収束していくような極の列を持つならば、先に述べた量子力学の基本的性質と矛盾する事態が生じることを示すことになる。そのためには、ゼータ函数の具体的表示を与えることが不可欠であるが、この点の改良が上の重要な結果を生む原動力であった。 以上のように、ゼータ函数の基本的性質の解明の第一段階に到達したとの感をもつが、今後は、ゼータ函数のより具体的な振る舞いを求めて研究の精度を上げる必要を感じている。
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[Publications] 井川 満: "いくつかの凸な物体による散乱について" 京都大学数理解析研究所 講究録. 1056. 96-109 (1998)
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[Publications] T.Nshitani: "Hyverbolicity of two by two systems with two indevndent varialles" Comm,Patial Diff. Equ's. 23(5,6). 1061-1110 (1998)
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[Publications] T.Nshitani and M.Takayama: "Characterestic initial boundary value problems for semmetiric hyperbolic system" Osaka J.Math.35(3). 629-657 (1998)
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[Publications] 磯崎 洋: "量子力学的散乱理論における逆問題" 数学. 50(2). 51-68 (1998)