1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10874040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 博司 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (80261543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木野 康志 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (00272005)
上村 正康 九州大学, 大学院理学研究科, 教授 (10037210)
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Keywords | 反陽子 / 相対性理論 / ミュオン / ミュオン触媒核融合 / 少数多体系 / 反陽子原子 / エキゾチック原子・分子 / 共鳴状態 |
Research Abstract |
(1) 反陽子ヘリウム原子(p^^-He^+の計算。 p^^-He^+の準安定状態のエネルギー準位の計算を行った。相対性理論、QED、原子核の有限サイズ効果の補正まで含む計算結果は、精密なレーザー共鳴実験の遷移波長と有効数字7桁(エネルギー準位では9桁)の精度で一致した。この一致はこれまでの反陽子原子の分光の理論・実験の精度を2桁上げたことになる。p^^-の質量をパラメータとしその共鳴波長に対する依存性を調べ比電荷の測定とは独立に陽子・反陽子の質量(電荷)の対称性が7桁の精度で成立することを示した。 (2) ミュオン分子ttμのエネルギー準位、核融合率の計算。 ttμ分子のエネルギー準位、平均粒子間距離、t-t間の核力を直接取り込んだ分子内核融合率を計算した。核融合率は原子核同士が接触する距離での波動関数に依存するが、ここでの波動関数の振幅は非常に小さいため正確な核融合反応率の計算には更に高い精度(エネルギーで9桁の精度)が必要である。核融合率の計算に必要な低エネルギーでのt-t間の核力ポテンシャルはその詳細が明らかでないため、核力ポテンシャルはt+t→α+n+n+11.4MeVの反応断面積を再現するようにを決めた。 (3) ミュオン(μ)のアルファ粒子(α)への初期付着率の計算。 αへのμ付着過程は従来理論と実験が合わない過程の一つであった。今回新しい方法にょりμのαへの初期付着率の計算を行った。従来の計算ではi)核融合後のα-n間の角運動量を0にする(角運動量保存則を破る)、ii)瞬間近似を用いる、iii)α-nの核力をT行列から除く、といった近似を行ってきたが、今回はこれらの近似を行わず正確な計算を行った。理論と実験の不一致の解明にはαに捕まったμがD_2、T_2との衝突によりd、tに移行する過程の計算の再評価の必要であることを明らかにした。 (4) ミュオンヘリウム分子(μdHe、μtHe)の共鳴状態の計算。 μdHe、μtHe分子共鳴状態のエネルギー、共鳴幅の計算を散乱問題を直接計算することにより求めた。共鳴幅に特に大きな同位体依存性があり分子の解離過程に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Kino, M.Kamimura and H.Kudo: "High-accuracy 3-body coupled-channel calculation of metastable states of antiprotonic helium atoms" Nuclear Physics. A631. 649-652 (1998)
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[Publications] M.Kamimura and Y.Kino: "Is muon catalyzed d-^3He fusion possible?" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research. A402. 397-401 (1998)
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[Publications] Y.Kino, M.Kamimura and H.Kudo: "Coupled-rearrangement-channel calculation of metastable states of antiprotonic helium atoms" Proceedings of International symposium on Innovative computational Methods in Nuclear Many-Body Problems(World Scientific). 136-138 (1998)
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[Publications] M.Kamimura, E.Hiyama and Y.Kino: "Ganssian-Basis Coupled-Channel Variational Calculations of Various Three- and Four-Body Systems" Proceedings of International symposium on Innovative computational Methods in Nuclear Many-Body Problems(World Scientific). 47-55 (1998)
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[Publications] Y.Kino, M.Kamimura and H.Kudo: "Non-adiabatic high-precision calculation of antiprotonic helium atomcules" Hyperfine Interactions. 118/119(印刷中). 404-409 (1999)
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[Publications] M.Kamimura, E.Hiyama and Y.Kino: "New comprehensive calculation of muon initial sticking to ^4He in d+μ fusion" Hyperfine Interactions. 118/119(印刷中). 221-226 (1999)