1998 Fiscal Year Annual Research Report
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10874051
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
毛利 信男 東京大学, 物性研究所, 教授 (40000848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 直 東京大学, 物性研究所, 助手 (60292760)
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Keywords | スピン・パイエルス転移 / NaV_2O_5 / 誘電異常 / スピン・シングレット |
Research Abstract |
本年度はスピン・シングレット転移を起こすCuGeO_3と無機物質で第2のスピン・パイエルス転移を起こすと報告されたNaV205の誘電率の測定を行った。 CUGCO_3のスピン・パイエルス転移にともなった誘電率の測定はこれまで一件報告され、スピン・パイエルス転移温度で誘電率には異常が見いだされていない。今回我々はSiをドープした系で誘電率の測定を行った結果次の点が明らかとなった。 1 CuGe_<1-x>Si_xO_3でx=0,0.001の試料でa軸方向の誘電率が低温で1/T依存性を示した。 2 x=0.0056,0.0124,0.02,0.03,0.05の試料では1/T依存性は見られなくx=0.03以外は誘電率の温度変化は低温へ向けて単調減少した。x=0.3は低温で僅かに温度減少とともに増加している。 中性子散乱実験によるとSiをドープするとスピン・パイエルス転移温度は減少し、反強磁性相が現れることが知られている。今回得られた誘電異常はこの磁性状態と関係しているようで、その検討を始めている。一方、NaV_2O_5の誘電率の測定によって次の興味深い結果が得られた 1 a軸方向とc軸方向で転移温度付近に異常が観測され、b軸方向では異常は見られなかった。この誘電異常は周波数に依存しない。 2 転移点より高温側で誘電率におおきな周波数依存が観測された。 3 極低温で誘電率は1/T依存を示し、b軸方向に顕著であった。 4 誘電率異常の現れる温度はスピン・パイエルス転移温度と一致し、転移温度は圧力で減少すること、さらに新しい誘電異常の生じることを見いだした。 以上得られた結果を現在、解析し、誘電率異常とスピン・パイエルス転移との関係を究明中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 関根 佳明: "スピン・パイエルス物質NaV2O5の誘電異常" Meeting Abstracts of the Physical Society of Japan. 53・2,Part3.482 (1998)
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[Publications] 加藤 健介: "スピン・パイエルス物質CuGeO3の誘電異常" Meeting Abstracts of the Physical Society of Japan. 53,2 Part3. 526 (1998)