1998 Fiscal Year Annual Research Report
原爆残留放射能^<63>Niの測定と原爆中性子スペクトルの評価
Project/Area Number |
10874061
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
静間 清 広島大学, 工学部, 教授 (10127657)
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Keywords | 原版線量 / Ni-63 / 誘導放射能 / 逆同時計数 / ベータ線 |
Research Abstract |
本研究は原爆中性子により被爆した銅材、および鉄材中に誘導された^<63>Niを測定し、原爆中性子スペクトルの評価を行うことを目的とする。^<63>Niは低エネルギーのβ線(最大エネルギー66keV)を放出するのでβ線に対する検出効率を高くし、また、微弱な放射能を測定するためにバックグラウンド計数率を低くする必要がある。平成10年度はβ線測定用の表面障壁型Si検出器とその同囲を井戸型NaI(Tl)シンチレーションカウンターで囲むSi-NaI逆同時計数装置の製作を行い、併せて、^<63>Ni電着装置を製作した。 66kevβ線のSi中での最大飛程は約25μmであるのでSi検出器は空乏層100μmのものとし、また、有感面積をできるだけ大きくするために600mm^2のものを使用した。井戸型NaI検出器はSi検出器を覆うことができるように、井戸の深さ51mm、直径51mmをもち、また、NaIの厚さ45mmのものを特注し、製作した。装置の全体は鉛5cmで遮蔽した。 ^<63>Ni試料を直径25mmのステンレス板に電着するための電着セルを製作した。セルの材質はテフロンとし、内径40mm、深さ75mmの円筒形とした。セルの低面にステンレス板を陰極として固定し、陽極には銀線を用いる。 平成11年度はSi-NaI逆同時計数装置のバックグラウンド低減のための特性を調べる予定である。そして、実際に原爆被爆鉄材から分離された^<63>Niの電着試料を作成し、低エネルギーβ線の測定を行う。原爆被爆鉄材試料は爆心から、1700mまでの6サンプルにつき、すでに^<60>Coと^<63>Niか分離されている。^<60>CoについてのGe検出器によるγ線測定は研究発表論文に示した。^<63>Niについて^<60>Coとの相関性を明らかにする。
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