1998 Fiscal Year Annual Research Report
地熱地域における温度アレー観測による地震時応力場変化に関する研究
Project/Area Number |
10874064
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江原 幸雄 九州大学, 工学研究科, 教授 (10002346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤光 康宏 九州大学, 工学研究科, 助教授 (10264095)
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Keywords | 地熱地域 / 温度観測 / 地震 / 応力場変化 |
Research Abstract |
研究対象地域である九州中部地域の九重火山およびその地域周辺において、噴気孔・温泉合わせて9カ所に温度連続記録計を設置し、サンプリング間隔10分で観測を継続し、温度変化データを取得した。一方、地震計は九重火山周辺地域4カ所(うち2カ所は臨時的に観測)に設置し、九重火山およびその周辺地域に発生する地震を観測した。 得られた温度変化パターンは2種類に分けられた。1つはゆっくりとした長期的な変化傾向であり、もう1つはパルス的な短時間内の変化である。長期的な温度変化は、地下からの熱供給の変化すなわち火山活動の変化を反映するとともに、一部の観測点では気温の日変化・年変化が反映されることが明らかにされた。一方、短時間のパルス的変化には、地震発生に伴うものと降水の影響を受けたものの2種類があることが明らかにされた。地震発生に伴うものは、地震発生後温度低下が生じたが、その後、地震前の値に回復した。降雨に関係するものは、「降水量」と「温度低下あるいは回復に要する時間」とがよい相関を示すことから、降雨の影響を定量的に把握することができた。 観測期間中、九重火山およびその周辺地域では、従来しばしば観測された比較的規模の大きい群発地震は発生せず、広域に展開された各温度観測点に共通の温度変化は観測されなかった。しかしながら、小規模な群発地震活動に伴って、九重火山中心部に設置した温度記録計ではパルス的温度変化が記録された。この変化は地震動により噴気通路が一時的に閉じたがやがて回復したものと理解された。すなわち、温度変化には地震に伴う応力場変化が反映されていることが確認された。さらに、各観測点における温度変化発生の時刻差から、九重火山中心部の噴気地域に地下から火山ガスを供給する通路の構造(ネットワークシステム)の一部が明らかにされた。
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Research Products
(2 results)