1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10874071
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前野 紀一 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50001657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香内 晃 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60161866)
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Keywords | 原始太陽系星雲 / 星間塵 / 有機物 / 衝突 / 粘弾性 / 付着力 / 小惑星 |
Research Abstract |
本研究では、原始太陽系星雲に存在する星間塵表面を覆う有機物に着目し、その存在が衝突・付着成長過程に与える効果を調べる研究を、昨年度までに開発した実験装置を用いて行った。 試薬を調合して作製したモデル宇宙有機物への銅球の衝突・付着実験を200-300K、衝突速度数cm/s-数m/sの条件で行った。その結果、付着の起こる臨界速度は温度の低下とともに増大し、250k付近で最大になり、再び減少する事がわかった。250K付近では数m/sの衝突速度でも付着が起こることが明らかになった。 さらに、衝突・付着のメカニズムを解明するために、モデル宇宙有機物の粘弾性測定・付着力測定も併せて行った。それをもとに、粘弾性流体モデルにより考察を行い、付着効果のピークが250K付近で現れるのは、試料の粘弾性の温度依存性に起因することがわかった。 モデル宇宙有機物の付着の効果を他の物質(氷、鉱物)と比較すると、有機物は氷や鉱物と比較して何桁も大きな衝突速度でも付着成長が起こることがわかった。このことから、原始太陽系星雲に有機物が存在する小惑星領域では、他の領域、すなわち、鉱物の存在する地球領域や氷の存在する木星領域よりも、惑星の成長が急速に進行したと結論される。
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[Publications] 竹井厳 他: "融点近傍における雪および霜の誘電的性質"北陸大学紀要. 23. 31-42 (1999)
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[Publications] 安留哲 他: "氷・氷摩擦係数の測定"雪氷. 61. 437-443 (1999)
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[Publications] Kouchi, A.et al.: "New methods for making amorphous icy grains for comet nucleus simulation experiments"Proc. 32nd ISAS Lunar and Planetary Symp.. 121-124 (1999)
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[Publications] 香内 晃: "宇宙のアモルファス物質"応用物理. 68. 1179-1180 (1999)
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[Publications] Kobayashi, K., et al.: "Synthesis of amino acids in earth's orbit"Advances in Space Research. 23. 401-404 (1999)