1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10874072
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (40124614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛川 武 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (60250669)
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Keywords | 熱水溶液 / 沸騰 / 水蒸気 / 分配 / 流体包有物 / 斑岩型鉱床 |
Research Abstract |
熱水の沸騰時には揮発性成分(H_2S,HCL,CO_2等のガス)が選択的に水蒸気中に移行し、重金属は液体中に残存すると考えられている。最近の分析技術の発達により、流体包有物中の水の分析が可能となり、ガスに富む包有物に高い銅濃度を示す例が報告され、一部の揮発性金属元素が水蒸気中に濃集する可能性を示している。本研究では沸騰時の重金属の挙動を明らかにするための実験的研究を実施した。 インコネル625製の高温高圧反応容器に気相と液相を同時に採取するためのバルブ類を付けた装置を用い、350-450℃で熱水実験を行った。5%および10%NaCl水溶液を出発溶液とし、あらかじめ40-120ppmのCuと50-90ppmのZnの塩化物を加え、水の臨界点以下の高温・高圧条件下で水蒸気をサンプリングすることにより、気相中のCuおよびZnの濃度を原子吸光法で分析した。各種元素の気相中への濃集度はCu>Zn>Cl>Naの順となることが示された。350、400、450℃における気/液中への分配係数の対数はCu(-1.57,-2.35,-1.46)およびZn(-2.36,-2.76,-1.83)と求まり、Cuの蒸発度はZnに比べ0.5オーダー程度大きいことが明らかとなった。水蒸気中のClおよびNaのモル濃度は、前者の方が常に高く水蒸気中でCuやZn等の金属が塩化物錯体として存在していることが示唆される。このことは、H_2S等の他のガス成分が共存すれば金属元素の蒸発度が異ってくる可能性を示している。
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[Publications] 林 謙一郎: "Potentiometric titrations of rutile suspensions to 250℃" Journal of colloid and Interface Science. 200. 298-309 (1998)
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[Publications] 掛川 武: "Origins of pyrites in the -2.5 Ga Mt.McRae Shale,the Hamersley District" Geochimica et Cosmochimica Acta. 62(in press). (1998)