1998 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を用いた超深部ダイヤモンドインクルージョンの起源の解明
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10874074
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
入船 徹男 愛媛大学, 理学部, 教授 (80193704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 徹 愛媛大学, 理学部, 助手 (00291500)
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Keywords | ダイヤモンド / インクルージョン / 放射光 / 下部マントル / ペロフスカイト / 高温高圧実験 / X線その場観察 / TAPP相 |
Research Abstract |
超深部インクルージョンの起源の解明については1)高温高圧実験によるインクルージョンの安定領域の決定と、2)実際のダイヤモンドインクルージョンを用いて、その構造を決定することを目ざしている。本年度は特に1)の課題に関連して以下のような研究をおこなった。尚、2)については超深部ダイヤモンドインクルージョンの発見者であるエジンバラ大学のB.Harte教授を当教室に招へいし、平成11年度から本格的な研究にとりかかる計画である。 1) MgCaSi_2O_6のペロフスカイト転移の研究。この組成が下部マントル条件下ではMgSiO_3斜方晶系プロフスカイトとCaSiO_3立方晶ペロフスカイトに分解することを、急冷法および放射光を用いたX線その場観察法により明らかにした。また急冷試料の化学分析により2つのペロフスカイトなかのMg、Ca成分の固溶量を温度の関数として決定した。この結果、相互の固溶量は温度とともに、わずかに増加することが確認された。本結果から、ダイヤモンドインクルージョン中のMgSiO_3、LaSiO_3ペロフスカイトが比較的低温で生成した可能性が示された。 2) ざくろ石組成の新しい相(TAPP相)の安定領域を明らかにするため、パイロープざくろ石を用いて広範な圧力・温度条件で急冷実験をおこなった。現在までのところ25万気圧、1800℃までの条件下では同相の存在は確認できず、更に検討が必要である。
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[Publications] Irifune et al.: "Phase transformations in serpentine and transportation of water into the lower mantle." Geophysical Research Letters. 25,2. 203-206 (1998)
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[Publications] Irifune and Isshiki: "Iron partitioning in a pyrolite mantle and the nature of the 410-km seismic discontinuity." Nature. 392・6677. 702-705 (1998)
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[Publications] Irifune et al.: "The postspinel phase boundary in Mg_2SiO_4 determined by in situ x-ray diffraction" Science. 279. 1698-1700 (1998)
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[Publications] 西山宣正・入船徹男: "X線その場観察法によるマントル鉱物相転移境界の決定" 高圧力の科学と技術. 印刷中.