1998 Fiscal Year Annual Research Report
塩素同位体による宇宙惑星物質のキャラクタリゼーション
Project/Area Number |
10874076
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 昇 神戸大学, 理学部, 教授 (90030791)
|
Keywords | 塩素同位体 / 安定同位体 / 標準海水試料 / 表面電離型質量分析計 / 同位体分析 / 環境物質 / 隕石 / 標準試薬 |
Research Abstract |
本研究は、表面電離型質量分析計によって、宇宙惑星物質中の塩素の安定同位体(質量35と37)の精密分析法を確立することを主な目的とした。その実現によって、隕石、地球の岩石と環境物質への応用を目標として研究を進めた。そのため、1)表面電離質量分析のハード・ソフトの整備、2)標準試薬(塩化セシウムなど)の分析、3)遠洋海水(標準)データの確立、4)イオンクロマトグラフによる塩素の定量法の確立、5)岩石、隕石、有機塩素系環境物質の分析を主な目標とした。 その結果、既存の質量分析計(MAT 262、5コレクター)を用いて、 1)37/35比にして0.1〜0.03パーミルの精度を達成、 2)標準海水試料の同位体比0.319772+0.000033をほぼ確立、 3)標準試薬、有機塩素試薬について-4.4〜+1.0パーミルの大きな同位体分別の検出 4)イオンクロマトグラフによる塩素の定量法(化学処理法など)の確立 などが達成された。これまで得られた塩素同位体データは、報告されている限り、国内外通じて最も精密な結果であり、今後の塩素同位体研究への大きな基礎となるものである。本研究の最終目標である5)の分析は、年度内には実現しなかったものの、今後の研究の展開として、岩石からの塩素の分離法の確立をもって隕石への応用、有機塩素系物質の分解法など確立によって、環境物質への応用が可能であり、数ヶ月〜1年では、着々とデータが出せる見通しである。これまで達成した結果は、精密塩素同位体法として、学会発表と論文としてまとめる予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Kojima et al.: "Consortium studies of five Antarctic Rumuruti chondrites" Antarctic meteorites. XXIII. 54-57 (1998)
-
[Publications] Morikawa et al.: "Rb-Sr isotopic systematics and REE-pattern of the Y-793605 Iherzolitic Shergottite" Antarctic Meteorites. XXIII. 91-92 (1998)
-
[Publications] Misawa et al.: "U-Th-Pb isotopic systematics of Lherzolitic Shergottite Yamato-793605" Antarctic Meteorite Research. 10. 95-108 (1997)
-
[Publications] 中村昇: "火星隕石の化学組成と年代" 月刊地球 特集号「火星隕石と生命」. 19. 426-438 (1997)
-
[Publications] Morikawa & Nakamura: "Silicate melt migration in the Acapulco-Lodranite source inferred from alkali and REE abundances" Meteoritics & Planetary Science. 32. A94-A94 (1997)
-
[Publications] 中村昇: "希土類の科学 第11章 宇宙科学における希土類(8p分担執筆)" 化学同人(足立吟也編), 498 (1999)