1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10874097
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 栄一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00134809)
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Keywords | 核酸 / 主溝認識 / ポリアミン / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は,フラーレン分子がこれまでになく大きな疎水性化合物であり,その大きさが主溝に合うサイズであることに着目して行ったものであり,これまでに行ってきた相補的塩基対による三重鎖形成などの知見をもとにして,フラーレンが主溝に結合するための基本的条件の検索を行った.結合能力の検定法としてはDNAの塩基対にインターカレートしたエチジウムブロミドの競争的追い出し実験,ゲルモビリティーシフトアッセイ,CDスペクトル測定,融点測定などの生化学的手法に加え,最近発達してきた原子間力顕微鏡(AFM)による核酸の3次構造の直接観察法を導入して研究を行う体制を整えた.この検討により,DNA主溝の構造に対し相補的な構造を持つフラーレンがDNAに強力に結合することが明らかになった.また,この実験から,AFMによるDNAの直接観察では,染色剤等の夾雑物の添加が必要なく,電子顕微鏡による観察よりも,溶液中の高次構造を反映したDNA像が得られることがわかった.AFMによるDNAの直接観察の検討は,まだ報文数も限られており,薬物によるDNA高次構造変化をAFMにより観察することは,重要かつ,有益なことであると考えた.そこで,DNA結合分子であるフラーレン,スペルミンが結合したDNAの直接観察を行ったところ,いずれも,DNA二重鎖の会合を誘起するが,その高次構造には大きな相違があることがわかった.このようなDNA高次構造変化に関する理解を深めるべく,現在,種々のDNA結合分子によるDNA高次構造変化の検討を始め,韓国Pohang大学のKimoon Kim教授のグループが合成している一連のポリアミジ化合物を用いた検討を行っている.
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