1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10874101
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
渡辺 茂 高知大学, 理学部, 助教授 (70253333)
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Keywords | ナノ光機能界面 / 表面プラズモン / ATR / 分子認識 / ルテニウム錯体 / カルボン酸イオン |
Research Abstract |
本研究では,塩川ら^<1)>の表面プラズモン測定光学システムに独自の工夫を凝らした反応セルを付設し,表面プラズモン反応装置とした.まず,真空蒸着装置を利用し,反応セル内で表面プラズモンの伝搬層となる金薄膜の作製条件について検討した.金の場合,表面プラズモンの発生には膜厚50nmの薄膜をプリズム底面に形成させることが理論上要求されており,真空度,蒸着源・基盤温度,蒸着速度・時間など種々の蒸着条件について検討した.また,作製した金薄膜を全反射減衰法(Attenuate Total Reflection)を用いて評価し,反射光の消失(消失角度=44°)から表面プラズモンの発生を確認した. 一方,表面プラズモンの作り出す非放射な電磁場をナノメートルサイズの極微小空間内に存在する光励起子場として活用するために,光機能分子を含む単分子膜の作製について検討した.光機能分子を1.光機能部位2.分子認識部位3.吸着部位から設計し,まず構造-機能相関評価を通じて標的分子と選択的に結合するルテニウム錯体(1)を合成した.(1)は,構造の適合するジカルボン酸イオンに対してのみ立体変化を誘起させ選択的に結合するとともに,吸収・発光スペクトルなどルテニウム錯体の光学的特性を著しく変化させることを見出した.今後は,さらにSH基の導入をはかり,金薄膜上に(1)の自己組織化を利用した単分子層の形成を予定している.このような(1)の自己組織化膜は,膜の形成時にテンプレートとして種々のジカルボン酸イオンを共存させれば,界面で多種多様な分子を選択的に取り込める空孔を自在に形成できる可能性を秘めており,ナノ光機能界面としての応用が期待できる. 1)Sun,X.;Shiokawa.S.;Masui,Y.Jpn.J.Appl.Phys.,1989,28,1725-1727.
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