1998 Fiscal Year Annual Research Report
液晶性と導電性を兼ね備えた新規ポリアニリン誘導体の合成
Project/Area Number |
10874103
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
佐藤 正明 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (70128768)
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Keywords | ポリアニリン / 導電性 / 液晶性 / 酸化重合 / 電解 / ネマティック / スメクティック / 偏向 |
Research Abstract |
液晶性と電導性を合わせ持つ新規のポリアニリン誘導体の開発を目指して、長鎖の置換基が導入されたアニリン誘導体モノマーを合成し、その重合反応によってポリアニリン誘導体を得た。導入された置換基は柔軟な官能基であるアルキルオキシ基の先端にさらに剛直な官能基であるビフェニルシアノ基が結合したものである。 単結晶のX線構造解析より、このモノマー結晶は三斜晶系に属し、長鎖の置換基はビフェニル基の軸方向に真っ直ぐ伸びていることが確かめられた。また、このモノマーはモノトロピック液晶化合物で、偏光顕微鏡観察により60〜80℃でネマティック相をとることが明らかになった。次に、種々の条件下で重合反応を検討した。まず、電解酸化重合法により白金電極表面への重合を試みたが、モノマーの酸化は起こるものの膜形成には至らなかった。しかし、化学酸化重合法を用いると黒色の沈殿物が得られた。この沈殿物を精製し、FTIR、NMRにより解析すると、ポリアニリン特有の性質を有していることがわかった。また、GPCの測定により、ポリスチレン換算で分子量3000程度のオリゴマーであると推察された。そこで、分子量を高め、生成するポリマーに規則的な構造を取らせることを目的として、液晶状態における重合方法を新しく開発した。すなわち、微小な電解セルの温度を制御しながら酸化を行うと、徐々に重合反応が進行し長鎖の置換基を側鎖に有するポリアニリン誘導体が得られた。このポリマーの分子量は5000程度まで上がったが、重合収率は数%と低く、分子量だけでなく重合収率を高めることも今後の課題である。なお、このポリマーは80〜100℃でスメクティックC相をとる液晶性高分子であった。
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