1998 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極イオン点源の開発とイオンビームの特性解析に関する研究
Project/Area Number |
10875008
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小林 中 大阪市立大学, 工学部, 講師 (30271373)
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Keywords | スピン偏極 / ヘリウムイオン / 電界イオン化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、先ず(1)Ni(110)表面での電界イオン化過程を利用してスピン偏極したHe(1^2S)イオンを効率良く生成する方法を提案すること、次に(2)既存の電界イオン顕微鏡(FIM)装置に、生成した偏極イオンビームの持つ特性評価を行うための機能を新たに装備し、放射されるイオンビームのスピン偏極度および運動エネルギー分布に関する精密な測定を行うことにある。そこで本年度、研究目的・研究実施計画に従って、先ずイオンビームの特性、特に放出イオンの運動エネルギー分布を評価するための装置、即ちウィーンフィルター部とフィルター通過粒子の検出部、の製作に取りかかった。 ウィーンフィルター自体は、内径180mm×長さ270mmのステンレス円筒内に固定してあり、ビーム入射軌道がフィルターのセンター位置を通過するよう、直前に偏向板を設置してある。ウィーンフィルターは、Colutron Research社(米国、コロラド州)製Model300を購入した。Model300では、フィルターの中心軸からズレた位置を通過するビームに対して中心方向に軌道が修正されるような電磁場形成が行われており、これにより入射ビームの加速が最大10kVでも直接フィルターで速度選別が可能である。 ウィーンフィルターにより速度選別されたイオンビームは、フィルター後方に配置したMCP(マイクロチャンネルプレート)により捕捉、検出される。シニブロン型MCPへの高電圧印加用電源は、電流導入端子を介して接続されている。 この装置を使って、W試料表面でのArガスの電界イオン化の様子はFIM像からルーチン的に観察できる状態にあり、ウィーンフィルターで速度選別したイオンのエネルギー分布に関する予備的な測定まで行うことが出来た。装置の基本動作は確認できたと考えており、今後、最終的な調整を終えて本格的な測定およびデータ解析を進める予定である。
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