1999 Fiscal Year Annual Research Report
フォトン走査型トンネル顕微鏡を使った誘電体薄膜成長過程のナノスケール観察
Project/Area Number |
10875009
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
後藤 哲二 東邦大学, 理学部, 教授 (50095494)
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Keywords | フォトン顕微鏡 / エバネッセント光 / ZnS薄膜 / 微粒子 / 屈折率 |
Research Abstract |
本研究の目的は,蒸着膜の成長初期における原子やクラスターサイズの状態から連続膜にいたる膜成長課程を光学定数の1つである屈折率の局所的変化を通して観察することである.申請者は光が全反射したときに発生するエバネッセント光と呼ばれる表面に局在した光を扱うフォトン走査トンネル顕微鏡(PSTM)に着目し,誘電体薄膜の成長過程における光学的性質の変化をナノスケールで観察すること.また,PSTMのファイバー製プローブを強制振動させシアフォース顕微鏡として動作させ,表面の幾何学的形状を観察することから誘電体薄膜の幾何学的形状変化と屈折率の関係を明らかにすることを目的として,ガラスプリズム上に真空蒸着した硫化亜鉛(ZnS)薄膜の観察を行った.得られたエバネッセント光の強度分布から誘電体薄膜の屈折率をプリズムと薄膜の界面とのエネルギー反射率から求めた.この結果,平均膜厚30nmから0nmへと斬減するZnS薄膜中で,この膜を構成する直径が数nmの微粒子の屈折率が2.96であることを知ることができた.このことから,レイリーの回折限界により不可能とされていた微小結晶の光学的性質の決定することができた.
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