1999 Fiscal Year Annual Research Report
先進セラミックスの実働荷重における疲労損傷加速現象のナノメカニズム的研究
Project/Area Number |
10875024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅田 淳 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60162913)
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Keywords | 疲労強度 / 疲労き裂進展 / セラミックス / き裂開閉口挙動 / 微小き裂 / 実働荷重 / 有効応力拡大係数 / き裂発生 |
Research Abstract |
セラミックス材料である窒化ケイ素を用いて,変動荷重下における疲労き裂進展試験を行った.この時,徐荷弾性コンプライアンス法により巨視的なき裂進展速度とき裂開閉口挙動を調べた.さらに,CT試験片に荷重を負荷したままき裂先端近傍を高分解能顕微鏡である原子間力顕微鏡(AFM)あるいは電子顕微鏡(SEM)により観察することが可能なジグを製作し,過大荷重負荷直後における疲労き裂先端近傍の詳細観察とき裂開口変位(COD)の計測を行った.その結果,一定振幅荷重下だけでなく変動荷重下においても疲労き裂は結晶粒界を進展するため,結晶粒がき裂上下面を橋渡しするいわゆるインターロッキングを確認することが出来た.また,インターロッキング部のかみ合部分の前後において,CODの変化が認められ,インターロッキングがき裂開口荷重を分担するためにき裂先端における真の応力拡大係数(K_<tip>)を減少させていることが判明した.このようなインターロッキングは荷重の繰返しにより,摩耗,破砕されると考えられているが,き裂進展経路の微視的観察によって,実際に結晶粒の抜け落ちなどが観察され,インターロッキングの摩耗,破砕機構が実験的に明らかにされた.また,き裂進展経路の微視的SEM観察から得られるき裂進展速度は,除荷弾性コンプライアンス法から求められる巨視的き裂進展速度と必ずしも一致せず,き裂進展機構解明のためには、本研究のような微視的な経路観察が有効であることを示した.一方,過大荷重負荷後のCODは減少しており,過大荷重がインターロッキングの摩耗,破砕を促進し,き裂進展速度を加速させることが判明した.
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