1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10875066
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村上 浩一 筑波大学, 物質工学系, 教授 (10116113)
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Keywords | シリコン / 水素分子 / 状態制御 / ラマン散乱 / 多原子空孔内水素分子 / 四面体格子間位置水素分子 / プレートレット水素分子 |
Research Abstract |
シリコン結晶中で見出されていた水素分子H2は,(I)四面体格子間Td位置のH2と(II)プレートレット中のH2である.本研究では,これらの水素分子を電子励起などの外部からのインプットにより,状態を準安定な水素分子に可逆に変換することを試みることが目標であった.本年度は,まず半導体結晶シリコンの水素原子処理を行って分子の形成を行い,ラマン散乱測定法によってシリコン結晶中の水素分子をラマンシフト,ラマン線幅,ラマン強度の変化に注目して詳細に調べた.その結果,第三の水素分子状態を発見した.具体的には,結晶性と水素分子形成の関係を調べるため,Si(100)結晶への200keVSi^+イオン注入を行い注入量を変えて系統的に結晶性の異なる試料を作り,次にそれぞれに水素原子処理を250℃で施して水素を導入し,そのラマン測定を行った.その結果,新たに3822cm-1にラマンピークが発見され,これはイオン注入で生成された多原子空孔内にトラップされたH2と考えられることを示した.また,Td位置でのH2の生成についも詳細に調べ,プレートレソト中のH2と反相関的な生成がなされていることを明らかにした.今後は,比較的結晶性の良い状態にある多原子空孔内の水素分子とTd位置の水素分子に着目し,低温電子スピン共鳴(ESR)測定とラマン散乱による同位体効果の研究を行い,並行して室温から500℃の間で結晶中水素分子にSEM電子線および色々な波長の光(OPOパルスレーザー)を照射して電子励起し,水素分子の運動や分解に関する効果を調べて,状態変化を制御する試みを進める予定である.
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Research Products
(2 results)