1998 Fiscal Year Annual Research Report
高減衰・高機能流体を用いた同調液体ダンパーの性能向上
Project/Area Number |
10875092
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 雅人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (60272358)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 陽三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20111560)
|
Keywords | 高機能流体 / 高粘性流体 / 同調液体ダンパー / スロッシング / 画像計測 / 自由表面 / 流速場 / 振動制御 |
Research Abstract |
同調液体ダンパーは,容器内流体のスロッシング振動数を同調させることによって構造物の振動を制御する制振装置であり,これまで,その性能を向上させるために,不凍液や重泥水などの比重や粘性が大きい流体や磁性流体等の高粘性・高機能流体を使用するという試みがなされてきた.しかしながら,上述のような高粘性・高機能流体では,従来同調液体ダンパーの設計に用いられてきたポテンシャル流理論では扱えない粘性の影響が大きいため,定量的性能予測が困難である.そこで,本研究では,高機能流体を対象として,そのスロッシング挙動とそれに伴うエネルギー散逸メカニズムを解明することを目的として研究を行った. これまで,高機能流体のスロッシング現象については,詳細な実験結果が不足していたため,精緻な数値モデルを構築することが困難であった.そこで,年度前半において,トレーサを用いた画像計測によって内部の流速分布と自由表面形状を,流速場を乱すことなく面的に計測する手法を構築した.しかしながら,前述の方法で計測した流速場は,計測の欠落点や誤差を含んでいたため,年度後半において,連続の式を用いて計測データを補完することによって,精度の高い流速場を得るデータ処理方法を考案した.さらに,その結果を用いて,高機能流体,特に高粘性流体のスロッシング挙動を精緻に把握し,粘性の違いによるエネルギー散逸メカニズムの変化を捉えることに成功した.今後,画像計測の精度を向上させると共に,本結果を数値流体モデルに取り込むことで,精緻な性能予測手法を確立すると共に,幅広いパラメトリックスタディを行い,高機能流体を用いた同調液体ダンパーの振動制御設計法を構築したいと考えている.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] M.Abe,Y.Fujino and S.Kimura: "Tuned liquid damper with high performance fluids" Second World Conference on Structural Control. Vo1.1. 131-138 (1998)
-
[Publications] 木村周二・阿部雅人・藤野陽三: "数値流体モデルによる同調液体ダンパー(TLD)の減衰性能の予測" 土木学会第53回年次学術講演会. Vo1.I-B. 932-933 (1998)