1998 Fiscal Year Annual Research Report
三角格子ボロン・ナノチューブの探索とナノスケール・デバイスの可能性
Project/Area Number |
10875121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 薫 東京大学, 工学系研究科, 助教授 (30169924)
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Keywords | 三角格子ボロン・ナノチューブ / BNナノチューブ / アームチェア型 / 回位 / 円錐構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、三角格子ボロン・ナノチューブの探索と、BNナノチューブ等によるナノスケールデバイスの可能性の検討である。本年度は、我々が発見し、他のグループのナノチューブ作製法と本質的に異なるリチウム蒸気下での熱処理を用いて、アモルファス・ボロンおよびβ菱面体晶ボロンを出発原料として、BNナノチューブの生成条件の調査と新たなナノ構造の探索を行った。 まず、生成条件として、10^<-6>torr程度以上の真空度、リチウム蒸気、1200℃10時間程度の等温保持時間が必要であることが明らかになった。次に、出発材料に混ぜるh-BNの替わりにAINを使った場合は、BNナノカプセルが生成し、BNナノチューブやその母体と考えられるアモルファス・ボロン周囲のBN層状構造は生成されなかった。一方、アモルファス・ボロンの替わりにシリコンを用いた場合は、シリコン周囲にBN層状構造は生成しなかったが、るつぼに使っているステンレス管からの混入物の周囲にはBN層状構造が生成していたことから、h-BNはLiによって分解されるが、BとNがバラバラになってしまうのではなく、BNダイマー以上の単位で気相拡散し、アモルファス・ボロン等の周囲に選択的に層状構造を生成し、その一部からナノチューブが成長するものと考えられる。 出発原料として、β菱面体晶ボロンを用いた場合に、3つの新奇構造を発見した。一つは、h-BN粒子の[1010]方向に、アームチェア型のBNチューブが密集して覆っているものである。この結果は、アームチェア型のBNチューブがその先端にB原子とN原子が交互に配置しているため極めて安定に成長するというモデルと一致している。二つ目は、h-BNシ一トに300°の回位を導入してできる円錐を入れ子状に重ねたものであると考えられる構造である。三つ目は、太さが100nm程度、長さが数十μmにもなるBNの棒状組織である。棒の途中は、中心が中空になりチューブ化していた。
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