1999 Fiscal Year Annual Research Report
三角格子ボロン・ナノチューブの探索とナノスケール・デバイスの可能性
Project/Area Number |
10875121
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 薫 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30169924)
|
Keywords | BNナノチューブ / Li蒸気 / アモルファス・ボロン / 熱処理 / 三角格子ボロン・ナノチューブ / ナノスケール・デバイス |
Research Abstract |
本年度は、まず、我々が発見し他のグループのBNナノチューブ作製法と本質的に異なるLi蒸気下での熱処理(1200℃、約10時間)を用いて、アモルファス・ボロンとBNの混合粉末を出発原料としたBNナノチューブ生成の再現性の鍵となる条件を探索した。1)BN ナノチューブが発見される試料において共通しているのは、BNレイヤーが絡まった組織である。そこで、この組織が作製できる条件を探索した。Liを用いず、アモルファス・ボロンを窒素ガス中で熱処理したところ、BNは生成したが、BNレイヤーが絡まった組織は、生成されなかった。したがって、Li蒸気下での熱処理が本質的である。2)グラファイトをLi蒸気下で熱処理するという同じ方法で、原料粉末にSiを混ぜることにより、カーボン・ナノチューブが生成された。しかし、SiとBNの混合粉末を出発原料としたLi蒸気下での熱処理では、BNレイヤーが絡まった組織は観測されなかった。したがって、Siの存在は本質的ではなく、アモルファス・ボロンを原料にすることが本質的である。3)これまでの方法では、石英管を二重に真空封入しても、漏れ出たLi蒸気により外側の石英管まで変質して封入が破られることが度々あった。そこで、Li蒸気を封じ込めるための最も内側のステンレス容器を改良し、Liの量を減らし、石英管の封入が破られないようにすることにより、BNレイヤーが絡まった組織を再現性良く作製することに成功した。4)原料粉末のアモルファス・ボロンとBNを混合しないで、隔てた状態でステンレス容器内に置いた場合、BNレイヤーが絡まった組織やBNナノチューブが、アモルファス・ボロン側に生成した。さらに、BNの代わりにAlNを用いても同様の結果となった。これらのことから、BNレイヤーが絡まった組織やBNナノチューブは、Li蒸気下でアモルファス・ボロンが窒化することにより生成すると考えられる。この方法を用いることにより、BN生成物を原料BNから分離して収集することも可能となった。 次に、上記の知見を基に、三角格子ボロン・ナノチューブの探索とBNナノチューブ等を用いたナノスケールデバイスの可能性を検討している状況である。
|