1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10875131
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 豊 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (10260415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粕壁 善隆 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (30194749)
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Keywords | 希土類 / セリウム / ステンレス鋼 / 応力腐食割れ / 鋭敏化 / 高温高圧水 / 低ひずみ速度試験 / 微視組織 |
Research Abstract |
本研究は、希土類元素セリウムを適量添加することにより応力腐食割れに対する耐性を飛躍的に向上させたステンレス鋼を開発し、微視構造の観点から割れ抑制機構を明らかにすることを目的とするものである。鋭敏化熱履歴後の高温水中での応力腐食割れ感受性の改善効果に主として焦点を当て、本年度は、下記の成果を挙げた。 (1) SUS316、SUS304、SUS304Lの各ステンレス鋼の標準的組成を基本として、主要不純物元素ならびに炭素含有量を正確に固定し、さらにセリウム添加量を0〜0.5wt%の範囲で調整した実験合金計16種を溶製した。 (2) SUS316鋼ベースの実験合金について機械的性質(室温引張特性)を調べた結果、0.09wt%までのセリウム添加量の範囲では、機械的性質に変化は現れないことが判った。一方、0.35wt%添加材では熱間鍛造過程で多数の微細な割れが発見された。 (3) SUS316鋼ベースの合金に対して、溶接熱影響を模擬した数種の熱処理を施した試料を用意し、低ひずみ速度法によって高温高圧水中応力腐食割れ感受性試験を実施した。破断後の割れ破面率および割れ発生個数に基づいて割れ感受性を評価した結果、鋭敏化初期から中期の範囲において、0.01wt%のセリウム添加によって割れ感受性が大幅に改善されることを見いだした。強鋭敏化条件では改善効果は認められず、また、0.04wt%以上の添加では改善効果は現れなかった。 (4) セリウム添加による割れ感受性改善効果の発現機構の解明を目的として、鋭敏化特性、炭化物析出速度、粒界性格分布など、粒界割れに深く関与する微視組織的特徴とセリウム添加の関係の解析に着手した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tetsuya Tonoduka: "Sensitization Properties and IGSCC Susceptibility of Ce-Modified Stainless Steels" 日本機械学会第76期全国大会講演論文集. 258-263. 143-144 (1998)
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[Publications] 戸野塚哲也: "鋭敏化ステンレス鋼の粒界応力腐食割れ感受性に及ぼすセリウムの添加効果" 材料と環境討論会講演集. 45. 261-262 (1998)