1998 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ベシクルのレーザー分裂・融合・構造形成制御と二分子膜構造
Project/Area Number |
10875160
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜多村 〓 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (50134838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八尾 浩史 北海道大学, 大学院理学研究科, 助手 (20261282)
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Keywords | ジャイアントベシクル / レーザーマニピュレーション / 顕微分光 / 融合・分裂 / 二分子膜構造 / 放射圧 / ピコ秒分光 / 電気化学応答 |
Research Abstract |
Didodecyldimethylammonium bromide(DDAB)は水中におて数マイクロメートルから数十マイクロメートルのジャイアントベシクルを形成する。一方、集光したレーザー光が物質により散乱されるときに発生する放射圧を利用することによりマイクロメートルの微粒子から比較的に大きな分子や分子集合系を捕捉することが可能である。本研究においては、DDABベシクルをレーザー光により分裂、構造制御するとともに、顕微分光測定を通してベシクルを構成する二分子膜構造の再構成過程をその場測定することを目的として研究を行った。 まず、ベシクルを精密にレーザー捕捉するため、2本のレーザー光で2箇所を独立に捕捉することのできるダブルビーム走査型レーザーマニピュレーションシステムを構築した。これにより、約10マイクロメートル程度の単一ベシクルの両端をレーザー捕捉し、一方の集光レーザー光をXY平面内で走査することによりベシクルを球形から楕円形へ変形させることに成功した。変形後にレーザー光照射を止めると約3秒ほどで、元の球形に戻る過程も観測できた。さらにレーザー光強度を上げて同様の実験を試みたところ、ベシクルの分裂を誘起することができた。光の放射圧の大きさから二分子膜を構成する力学的な強度や分子間力を見積もることが可能と考え、理論的な考察を進めている。 一方、DDABベシクルをFluorescein等の蛍光色素で染色して、単一ベシクル毎に顕微分光測定を行った。その結果、蛍光色素の極大波長と寿命はベシクルのサイズに依存することが見い出された。即ち、ベシクルサイズの減少とともに、蛍光極大波長は短波長シフトするとともに、蛍光寿命は長くなった。この現象には色素濃度依存性があり、高濃度の時にサイズ依存性は顕著であった。この事はベシクルサイズに依存して蛍光色素の会合状態が変化することを示唆するものである。先に述べたレーザーによるベシクルの分裂・変形操作と蛍光分光法を組み合わせることにより、二分子膜の再構成過程の情報が得られるものと期待される。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 喜多村 〓: "Optical Transformation and Fission of Single Giant Vesicles in Water by Radiation Pressure." Journal of American Chemical Society. 120(8). 1942-1943 (1998)
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[Publications] 金 幸夫: "Direct Excitation Energy Transfer as a Technique for in Situ Measurements of Ion-Exchange Processes in Single Polymer Particles." Analytical Chemistry. 70(1). 105-110 (1998)
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[Publications] 金 幸夫: "Effects of Sample Dimension and Dye Distribution Characteristics in Absorption Microspectroscopy." Analytical Chemisty. 70(1). 51-57 (1998)
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[Publications] 石坂 昌司: "Total Internal Reflection Fluorescence Dynamic Anisotropy of Sulforhodamine 101 at a Liquid/Liquid Interface : Rotational Reorientation Times and Interfacial Structures." Analytical Chemistry. 71(2). 419-426 (1999)
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[Publications] 金 幸夫: "Microspectroscopic Analyses of Dye Distribution Characteristics in Single Microcapsules." Analytical Chemistry. 70(1). 111-116 (1998)
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[Publications] 近間 克己: "Characteristic Behavior of an Electron Transfer Reaction across a Tributyl Phosphate Droplet/Water Interface : Micrometer Droplet-Size Effect." Bulletin of Chemical Society Japan. 71(5). 1065-1070 (1998)
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[Publications] 中谷 清治: "Advances in Photochemistry" John-Wiley & Sons.Inc., 50 (1999)
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[Publications] 喜多村 〓: "Mesoscopic Chemistry" Blackwell Science, 25 (1999)