1998 Fiscal Year Annual Research Report
固液共存場における超音波伝搬と振動緩和過程に対する界面効果の化学的解明
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10875174
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
出来 成人 神戸大学, 工学部, 教授 (10101065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水畑 穣 神戸大学, 工学部, 助手 (10283871)
梶並 昭彦 神戸大学, 工学部, 助手 (10169443)
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Keywords | 超音波 / 断熱圧縮率 / 塩化ランタン / 希土類多核錯体 / 蒸気圧測定 / 固液共存系 |
Research Abstract |
今年度は固液共存場における超音波測定の確立に向けた予備的検討として、水溶液内で多核錯体の生成によりミクロ的異相構造を持つことがこれまでにも確認されているLaCl_3水溶液を用い、その超音波測定手法の確立とその解析を行った。LaCl_3 7水和物を蒸留水にて所定の濃度において調製し、さらにイオン交換樹脂を添加、処理することにより溶液pHを調整し、濾過して得られた溶液を用いた。初期pHはpH=5〜7の範囲において、調整した。これらの溶液について音速の測定を行い、断熱圧縮率を算出した。断熱圧縮率はpHの増加とともに増大し、あわせて検討を行った電気伝導度、密度が減少したことが認められた。これらの結果は、LaCl_3水溶液中には加水分解反応の進行によりかさ高い構造を有する、La(OH)_2^+,La_2(OH)_5^+等の多核構造をもった錯体が存在していることによると考えられる。また経時変化を検討したところ、pH、音速は熟成に伴い減少し、断熱圧縮率は増加した。このことから、水溶液内の加水分解反応が熟成により進行することが明らかとなった。またその進行は数十日程度にも及び、非常に長時間にわたって徐々に進行することが明らかとなった。 さらに、固液共存系における基礎物性として、固相共存下における液相の蒸気圧測定を開始し、蒸気圧が液相含有率に依存していることが認められた。現在、継続して検討中である。
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[Publications] 出来 成人: "電解質-水系を対象とした溶液化学-均一系から異相系へ-" 溶融塩および高温化学. 42・1. 26-41 (1999)
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[Publications] Minoru Mizuhata: "Effect of solid surface on vibrational modes of solution in solid/liquid hetero-phase system" Journal of Molecular Liquids. (印刷中). (1999)