1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10875204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松村 清重 大阪大学, 大学院・工学研究所, 助教授 (10135668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 博善 大阪大学, 大学院・工学研究所, 助手 (00252601)
長谷川 和彦 大阪大学, 大学院・工学研究所, 教授 (60106804)
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Keywords | 脅威感 / 危険感 / 最適航路 / 港湾設計 |
Research Abstract |
著者は既に操船者の受ける脅威感と危険感という両心理感について、流体力学的鏡像原理に基づく仮説を提示し、それらの表現を与えており、そのような学問分野の萌芽を作り出している。 最適航路の計画や、港湾設計を行うにしても、単に近いではなく、疲れない航路や、不安感の少ない航路といった概念が必要である。船舶が航行するとき、運搬や漁労といった何らかの任務を持ち、それらは脅威感や危険感に抗してでもやり遂げられなければならない。疲労は肉体よりむしろ精神的疲れであり、これは両心理感に逆らった仕事とも考えられる。このように脅威感や危険感を根底に据えれば、それらに起因すると考えられる心理感を数式表現できる。 本年度の研究では、数式表現された両心理感のうち、脅威感を根底に据え、モデル化した比較的単純な形状の港湾、河口等付近での脅威感の分布を得た。この結果、脅威感の数式表現は、心理現象をよく表現していることがわかった。得られた脅威感の分布を考察することで、脅威感を感じないようにするには港湾、河口等をどのように変更するべきかという指針を得ることができた。さらに、脅威感の等値線と直交する線(航路)をたどっていくことで、岸壁に衝突してしまう航路(危険航路)とそうではない航路(安全航路)を得ることができた。これに関する考察はまだ不十分であるが、異なる港湾、河口等での脅威感を比較検討する場合に有効であると考えられる。本年度の研究で用いた港湾、河口等の例は、前述のように比較的単純であるが、実際の複雑な形状の港湾、河口等にも拡張可能であり、脅威感の数式表現をもとにした最適航路の計画、港湾の設計の可能性を示すことができた。
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