1998 Fiscal Year Annual Research Report
エディブルコーティング剤としてのキトサン利用による果実の鮮度保持に関する研究
Project/Area Number |
10876005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
弦間 洋 筑波大学, 農林学系, 助教授 (70094406)
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Keywords | コーティング剤 / 鮮度保持 / リンゴ / ニホンナシ / 果実着色 / 水分損失 / 果実内糖質 / 粘性 |
Research Abstract |
まず分子量の異なるキトサン(便宜上、分子量10,000のものを低、600,000を中、1,000,000を高分子キトサンとする)を0.4%で溶解して、リンゴ‘ジョナゴールド'果実にコーティング処理し、5℃条件で貯蔵した。その結果、高分子キトサンコーティング果実は果実硬度が高く保持され、呼吸量は低く抑えられていた。一方、低分子キトサンはリンゴの鮮度保持には効果が少ないことが分かった。高分子のキトサンはもとより水に不溶である。従って、溶解条件として酸液が考えられ、リンゴ酸、クエン酸、酢酸の各種濃度を用い、pHの変化並びにコーティング剤として重要な要素である粘性について計測した。粘度は酢酸を用いたもので高く、pHの低下も少ないことが判明し、0.5%前後の酢酸を溶媒とすることが望ましいことを明らかにした。さらにニホンナシ‘豊水'果実を用い、水溶性の低分子キトサンと前述の高分子キトサンのコーティング処理効果を検討した。ニホンナシではいずれのキトサンコーティング果実も水分損失量が少なく水との親和性力吠きいことが認められ、高分子のみならず水溶性キトサン処理果実でも果実硬度が高く推移して、果実内へ取り込まれて物性改善効果をもたらしたものと推察した。しかし、果実着色の進みや果実内シュクロースの還元糖への分解(新規購入HPLC使用)、さらには呼吸、エチレン生成の抑制等から、高分子キトサンコーティングが有効であることを明らかにした。現在、イチゴ果実を用いて軟弱果実への適用について研究を進行中である。また、キトサンの抗菌特性についても検討中である。
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