1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10876008
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
堀 秀隆 新潟大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (00293241)
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Keywords | 根コブ病菌 / カブカルス / カルス内増殖 / 胞子抗体 / Plasmodiophora brassicae |
Research Abstract |
根コブ病菌Plasmodiophora brassicaeはアブラナ科植物に寄生し大きな被害を与える絶対寄生菌で現在人工培養はできない。P.brassicaeには10余のレースがあると考えられていて、研究に一般に用いられている菌株は複数のレースが混在すると考えられる。菌の感染初期に於ける植物/菌の相互作用の研究、根コブ病菌抵抗性作物の育種などを遂行する上で単一胞子から単一レースを確立することは必須である。 カブカルスを作製し、カルス内で菌の増殖を試みた。根コブ病抵抗性、及び感受性のカブからカルスを誘導した。カルスはMurashige-Skoog基本培地にNAA0.5ppm, BA1.0ppmを加えた場合が最も良く増殖し、20日間で生重量は約10倍に増加した。基本培地の濃度を1/2にしても増殖の程度は変わらなかった。 胞子を感染カブから単離精製し、継代した新鮮なカルス(0.1g)上にそれぞれ10^2,10^4,10^6個の胞子をピペットで接種した。カルスの増殖は胞子の感染によって影響されることなく、観察した20日間、無接種の場合と同じ生育を示した。カルスに接種した胞子がどの様な消長を行うかを観察した。10^4個の胞子を接種すると5日後に1.2x10^7、10日後には1.4x10^7個の胞子がカルスから回収された。この胞子の増殖は、カルス表面で胞子が発芽し形成された遊走子が、カルス内に入り、二次遊走子を経て休眠胞子になったためと考えているが、これら定量的知見と、10日という短期にこの様な胞子の増殖を観察したことは今後の初期反応の観察に大きく貢献をするものと期待できる。しかし詳細な過程を確立するには繰り返し観察が必要と思っている。この様にして最適な増殖系を確立し、単一胞子増殖系を確立できるものと考えている。 胞子に対するポリクロナール抗体の作製に成功し、カルス内での胞子の挙動を蛍光抗体染色によって観察できる新しい手段を得た。
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