1999 Fiscal Year Annual Research Report
葉面電位変化のフーリエ変換スペクトラムを用いた植物の栄養診断法
Project/Area Number |
10876014
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中林 和重 明治大学, 農学部, 講師 (40237368)
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Keywords | 栄養診断 / 養分欠乏 / 欠乏症 / 葉面電位 / フーリエ変換 / メロン / トマト / ミニトマト |
Research Abstract |
昨年度は、トマトの葉面から得られた1ヘルツから20ヘルツの葉面電位変化を測定し、窒素欠乏状態のトマトでは14ヘルツの電位が、マグネシウム欠乏の場合には6ヘルツと19ヘルツの電位が大きくなることを、統計的に確認した。これは、一昨年にメロン栽培で観察された事例と合致した。 本年度は、ミニトマトを用いて、測定周波数を0.5から40ヘルツに広げたところ、前年までの観測事実のほか、リンの欠乏状態の把握には30ヘルツの電位が有用であることが新たに見出された。 これらの結果から、30ヘルツ、13ヘルツ、20ヘルツの電位をそれぞれX、Y、Z軸とした3D空間を考え、種々の養分欠乏ミニトマトから得られた電位データーを、3次元の分布図として表したところ、窒素欠乏ミニトマトから得られたデーターは左手前に、マグネシウム欠乏では奥に、リン欠乏では下方に特徴的に分布することが伺えた。 即ち、昨年までは葉面から得られたデーターを多変量解析法によって処理して、統計的に葉面電位変化と作物の養分欠乏を関係づけていたが、本年度の結果によれば、3つの特定周波数(30,13,20ヘルツ)の葉面電位(ミリボルト)を測定すれば、作物の窒素とマグネシウムとリンの養分欠乏の予想をつけられるのである。 この、最新の結果は、植物工場学会誌第12巻2号(2000年6月号)に掲載予定である。この研究の進展は、補助金によるところが大であった。心よりお礼申し上げる。
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[Publications] 中林和重,松本匡史,田中剛毅: "ミニトマトを用いた葉面電位変化の昼夜特性"日本植物工場学会学術講演要旨集. 122-123 (1998)
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[Publications] 松本匡史,田中剛毅,中林和重: "葉面電位変化を用いたミニトマトの栄養診断"日本植物工場学会学術講演要旨集. 124-125 (1998)
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[Publications] 松本匡史,鯨岡裕子,江澤智子,中林和重: "ミニトマトを用いた葉面電位変化の部位特性について"日本植物工場学会学術講演要旨集. 126-127 (1998)
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[Publications] 中林和重、田中剛毅、深沢陽平: "トマトの光刺激による葉面電位変化"日本植物工場学会学術講演要旨. 530-531 (1999)
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[Publications] 松本匡史、江沢智子、中林和重: "種々の要素欠乏下でのミニトマトの葉面電位変化の特徴"植物工場学会 学術講演要旨. 532-533 (1999)
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[Publications] 中林和重、松本匡史: "トマトの葉面電位の特徴と栄養診断への適用"植物工場学会誌. 11巻第3号. 189-200 (1999)