1998 Fiscal Year Annual Research Report
複合細胞培養系を用いた新規食品機能性成分の検出の試み-特に神経細胞のアポトーシスを抑制する食品成分の検索-
Project/Area Number |
10876028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30114507)
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Keywords | 腸管上皮細胞 / 神経細胞 / 複合培養 / 食品機能 / アポトーシス |
Research Abstract |
食品の生体調節機能の発現に消化管が関与していることは疑いなく、しかも、消化管上皮細胞は食品成分の持つ様々な情報を受容し、変換し、別の情報として体内に伝達するといった高度な機能を担っていると推定される。本研究では、腸管周辺の細胞、特に神経系の細胞と腸管上皮細胞間のクロストークと、それに関わる食品因子に注目し、食品成分がどのように腸管上皮に作用し、その結果、腸管上皮からどのような因子が放出されて神経細胞に作用するか、といった点について、特に神経細胞のアポトーシスを視野に入れて検討することにした。そのためには、まず腸管細胞と神経細胞の共培養(複合培養)が必要であると考え、実験系の確立を試みた。まず、腸管細胞としてはヒト腸管由来の上皮細胞株Caco-2を用い、これを透過性膜上に単層培養した。一方、神経細胞としては、ヒト由来のアストロサイトおよびラット由来のPC-12細胞を選び、これらの細胞を透過性膜の下側のチャンバーに培養して、その増殖・分化・機能発現などについて観察することにした。予備実験の結果、アストロサイトは培養液中の牛胎児血清(FCS)濃度が高いと増殖しないが、5%FCS存在下では増殖すること、Caco-2の培養上清(5%FCS使用)を加えるとその増殖速度が上昇することが認められた。また、Caco-2とPC-12を複合培養すると、単独では本来分化しないPC-12が分化し、神経様突起を形成することが見出された。このように、腸管上皮細胞と神経系細胞の複合培養が可能であり、また両細胞間に何らかのクロストークが存在する可能性が見出されたので、現在その詳細について検討中である。
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