1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10876036
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 拡邦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30261960)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 成人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80313071)
竹村 彰夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50183455)
|
Keywords | 環状炭酸化合物 / 液化 / セルロース |
Research Abstract |
本年度は、新規液化溶媒として環状炭酸類についての検討を行った。炭酸エチレン、炭酸プロピレンを用いてセルロースの酸触媒液化を行い、その反応速度を検討した結果、どの反応も擬一次反応に従い、その反応速度はエチレングリコールに比較して、それぞれ28倍、13倍と速くほぼ100%の液化が進行することが判明した。これは環状炭酸類が速やかな液化を促すことを示している。 反応効率が高かった炭酸エチレンを用いてシラカンバ・スギ・ヒノキを用いて酸触媒液化を検討したところ、シラカンバではほぼ100%まで液化したが、スギ、ヒノキでは20-25%程度の未溶解分があったこの未溶解分をIR分析するとリグニンに特徴的な吸収が見られた。 また、未溶解部分の収量はスギ、ヒノキのリグニン含量に相当するものであった。これらのことから、環状エチレンによる液化は針葉樹、広葉樹により異なることが示唆された。針葉樹ではグアイヤシル骨格のリグニンが酸縮合して未溶解分を形成すると考えられる。 この様に炭酸エチレン液化では針葉樹に未溶解分を発生させるが、炭酸エチレンにエチレングリコールを混合した液化剤を用いるとほぼ100%の液化が行われることも判明した。 また、セルロースの液化に炭酸エチレンを用いると、ポリエチレングリコールのレブリン酸エステルを多量含有する生成物が得られた。従って、炭酸エチレンを液化剤として用いる液化機構もポリアルコールを用いる液化と同様にセルロースの解重合、配糖体の生成、レブリン酸エステルの生成の経路をたどるものと考えられる。なお、ここで発生するポリエチレングリコールは炭酸エチルの開環重合物である。
|
Research Products
(1 results)