1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10876037
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
吉田 弥明 静岡大学, 農学部, 教授 (10126790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 雅章 静岡大学, 農学部, 助手 (20293615)
滝 欽二 静岡大学, 農学部, 教授 (00022252)
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Keywords | 超臨界 / 樹脂廃液 / 分解 / 再資源化 |
Research Abstract |
本研究では、塗料あるいは接着剤などの樹脂廃液を比較的安価に安全な低分子物質に分解し、更に有用物質に効率的に変換・再び資源化することを目的に、超臨界流体を用いて樹脂廃液の分解条件と変換特性・変換効率等について実験を行った。昨年度は塗料や接着剤の原料樹脂として多用されているアルキド樹脂を用い、これを実験室で硬化させ超臨界流体による分解実験を行った。超臨界流体としては比較的温和な条件で処理できる二酸化炭素を用いた。処理の圧力、温度、時間を変化させて処理を行った結果、どの条件についても超臨界二酸化炭素処理では分解物の形態変化が認められず、処理物は固体のままであった。 本年度は、より分解力の高い超臨界水による市販および合成ポリエステル樹脂の分解を行い、これら分解物の液体クロマトグラフィーによる分析を行った。水の臨界点は374℃・218atmであり、本実験では装置の仕様および文献等を参考に分解条件として400℃・308atmを選んだ。この温度、圧力で処理時間を変化させて樹脂原料および硬化樹脂の分解を行った。その結果、分解時の時間を変化させても、分解物に大きな違いは認められなかった。また、硬化樹脂分解物の分析によると、樹脂原料であるモノマー類はほとんど検出されなかった。しかし、モノマー分解物と同種の物質が多く検出されていることから、本条件では分解が進行し、モノマー以下の分子量にまで分解されたものと推察された。 当初、樹脂硬化物のモノマー類への変換を目的としていたが、今回用の条件ではモノマー類はほとんど検出されなかった。よりきめ細かな分解条件の制御がきれば、分解進行の制御、モノマー回収率の向上を図ることができると考えられるが、本実験で用いた分解装置では数分単位でしか温度・圧力の制御ができないこと、分解温度が最高450℃など分解条件に多くの装置的制約があったため、このような結果になったと考えられる。
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