1998 Fiscal Year Annual Research Report
軟体動物の創傷治癒におけるトランスグルタミナーゼの作用
Project/Area Number |
10876039
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関 伸夫 北海道大学, 水産学部, 教授 (20002090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
埜澤 尚範 北海道大学, 水産学部, 助手 (20221484)
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Keywords | トランスグルタミナーゼ / アイソザイム / 創傷治癒 / 軟体動物 / 貝類 / ヤマトシジミ / 環境 / ホタテガイ |
Research Abstract |
海産,淡水産,および汽水産の貝類12種類の筋肉(閉殻筋,斧足筋)のトランスグルタミナーゼ(TGase)を5mM EDTA,10mMメルカプトエタノール,20mM Tris-HCl緩衝液で抽出し, Ca2+存在下で蛍光性アミン(MDC)のカゼインへの取り込みに基づく方法によって活性を測定した。海産貝類のTGase活性レベルは貝の種類によって大きな違いが認められたが,いずれの酵素もNaCl濃度の増大により活性化され,海水濃度(0.5MNaCl)では高い活性を示した。中でもホタテガイ,エゾアワビ,エゾボラでは低塩濃度下よりも5〜10倍高い活性を示した。一方,淡水産貝類のTGase活性は0.1M NaCl濃度で最も高く,それより高濃度下では活性は低下した。これらのTGaseをnativePAGEで電気泳動に供し,活性染色を行ったところ,いずれも単一の活性バンドが検出されたが,ヤマトシジミでは少なくとも4本の活性バンドが認められた。そこでヤマトシジミの酵素をDEAE-Toyopearlクロマトグラフィーで分画したところ,溶出順にa,b,cの3つの活性ピークが得られた。ピークaとcはnativePAGEで単一の活性バンドを示したが,bは2つのバンドを示した。aのTGaseはNaClで活性化される海水型で,cは抑制される淡水型であった。bの酵素はNaCl濃度の影響を受けなかった。 以上の結果から,貝類筋肉のTGase活性は外界の環境と関連しており,この酵素が細胞内で作用するよりは細胞外に出たときに作用することを強く示唆している。すなわち,創傷時に機能する可能性がある。ヤマトシジミは汽水産であることから,生息環境のNaCl濃度に依存してTGaseアイソザイムを使い分けていることが推測された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Seki: "Effect of transglutaminase on the gelation of heat-denatured surimi" Fisheries Sci.64・6. 959-963 (1998)
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[Publications] N.Seki: "Dimerization site on carp myosin heavy chains by the endogenous transglutaminase" Fisheries Sci.64・2. 314-319 (1998)
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[Publications] S.Ni: "Effect of microbial transglutaminase on the thermal gelation of carp actomyosin sol" Fisheries Sci.64・3. 434-438 (1998)
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[Publications] H.Nozawa: "Partial purification and characterization of six transglutaminase from ordinary muscles of various fishes and marine invertebrates" Comp.Biochem.Physiol.118B・2. 313-317 (1997)