1999 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患と生殖能力:トランスジェニックおよびノックアウト動物の解析
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10876064
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
木曽 康郎 山口大学, 農学部, 教授 (10142374)
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Keywords | 子宮NK細胞 / IL-2ノックアウト / IL-2レセプターβ鎖 / TgE26 / β2ミクログロブリン / MHC / IL-15 / 脱落膜 |
Research Abstract |
マウスの着床・胎盤形成過程において、顆粒性間膜腺細胞と呼ばれる子宮NK細胞が有意に出現する。今回、3種類の遺伝子改変あるいは遺伝子破壊マウスモデルにおける子宮NK細胞について検討した。(1)IL-2ノックアウトマウスで、子宮NK細胞が分化したことから、IL-2以外のサイトカインが分化因子であることが示唆された。(2)IL-2Rβ鎖過剰発現遺伝子改変マウスで胎盤形成期に流産が誘発された。これはIL-2Rβ鎖の過剰発現により、IL-15が子宮NK細胞のきわめて低い細胞傷害性を増強させた可能性が示唆された。(3)日本産野生マウス分娩後の子宮における成熟型子宮NK細胞の存在は本マウスでの子宮NK細胞がFasを発現しないことによることが分かった。(4)子宮NK細胞欠損マウスTgE26では、間膜腺と基底脱落膜内の放射状動脈の分岐が不完全で、特に胎盤形成期での蛇行や迂曲が見られず、血管内皮の肥厚が見られた。このため、局所での高血圧が起こり、流産が誘起されたものと示唆された。(5)β2ミクログロブリンノックアウトマウスでは、流産は誘起されず、まったく正常であったことから、栄養膜MHC発現は妊娠維持機構にとって本質ではないかもしれない。
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[Publications] Y.Kiso 他3名: "A study of uNK cells in pregnant IL-2Rβ chain overexpressed transgenic mice."J.Reprod.Immunol.. (in press) (2000)
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[Publications] T.Mizuno 他8名: "Role of hypothemia induced by tumor necrosis factor on apoptosis and function of inflammatory neutrophils in mice."Am.J.Physiol.. 278. R157-R165 (2000)
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[Publications] K.Kusakabe 他3名: "Cell death of uNK cells in murine placenta during placentation and preterm periods"J.Vet.Med.Sci. 61. 1093-1100 (1999)
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[Publications] K.Kusakabe 他5名: "Uterine Nk cells produce epidermal growth factor in the murine pregnant uterus."J.Vet.Med.Sci. 61. 947-949 (1999)
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[Publications] Y.Kiso 他4名: "The Biology of uterine Nk cells at the feto-maternal interface during successful pregnancy."The 2nd Symposium by Organized Research Combination System.. 7 (1999)
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[Publications] 木曽康郎 他1名: "子宮NK細胞と妊娠"産婦人科の実際. 48. 803-810 (1999)