1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒルシュスプルング病モデル動物としてのエンドセリンB受容体欠損ラット
Project/Area Number |
10877016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐木 英明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60011912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 喜久治 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50100045)
堀 正敏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70211547)
尾崎 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30134505)
鳥橋 茂子 名古屋大学, 医学部, 助手 (90112961)
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Keywords | ヒルシュスプルング病 / エンドセリン / 腸管 / 収縮 / マクロファージ / 一酸化窒素合成酵素 / シクロオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
先天性消化管壁内神経節欠損ラット(ARラット)は腸閉塞症状を呈することから、ヒトの遺伝性疾患、ヒルシュスプルング病のモデル動物として有用であることが知られている。最近この病態が、先天性エンドセリンB受容体欠損に起因することが明らかにされた。本研究では、ARラットの消化管狭窄部と膨大部における形態学的変化、平滑筋の機能的変化ならびに腸内フローラの変化について検討し、このモデル動物の病態生理学的特徴を明らかにすることを目的とした。 初年度は、ARラットにける狭窄部位の消化管平滑筋収縮性、平滑筋層や神経繊維などの形態学的特徴、さらに消化管内容物が貯留する回腸膨大部位の腸内フローラなどについて検討し、特徴的な変化を明らかにした。さらに、回腸膨大部の平滑筋層にマクロファージが顕著に増加していることなども見出した。 今年度は、ARラットの筋層間で増加したマクロファージに注目し、どの様な変化があるかを検討した。その結果、インターロイキン-1βの発現が増加していることを見出したが、誘導型一酸化窒素合成酵素やシクロオキシゲナーゼ-2に変化は認められなかった。すなわち、閉塞病変により腸管の免疫系の活性化が生じているが、LPSなどの曝露にまでは至っていないことが示唆された。 さらに腸管マクロファージの性質を調べるため、試験管内において正常ラットの腸管組織をLPSで曝露し、誘導型一酸化窒素合成酵素とシクロオキシゲナーゼ-2の発現を調べたところ、両者とも著しく増加していた。 以上の成績から、ヒルシュスプルング病においては、マクロファージなどの消化管免疫系が活性化し、これによって二次的に消化管運動が影響されていることが考えられた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Torihashi, S.Ohta, M.Hori, M.Kita, H.Ozaki and H.Karaki: "Resident macrophages activated by lipopolysaccharide(LPS) suppress muscle tension and initiate inflammatory response in the gastrointestinal muscle layer"Histochemistry & Cell Biology. (in press). (2000)