1999 Fiscal Year Annual Research Report
尿素サイクル酵素の組織化(channeling)に関する蛋白質の発見を目指して
Project/Area Number |
10877020
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐伯 武頼 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10056070)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 圭子 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (70108869)
|
Keywords | 尿素サイクル / 組織化 / チャネリング / シトルリン血症 / シトリン |
Research Abstract |
細胞外から投与した尿素サイクルの中間体よりも細胞内に存在する中間体が優先的に使用されることから、尿素サイクル酵素は組織化されており、基質が所謂channelingによって効率よく利用されているとされている。その証拠を得、関与するタンパク質を得ることを本研究の目的とした。この2年間に、尿素サイクル酵素であるargininosuccinate synthetase(ASS)蛋白質の肝臓特異的減少を伴う疾患である成人発症II型シトルリン血症の病因遺伝子が何らかの役割を果たす可能性を考え、homozygosity mappingとpositional cloningによって病因遺伝子の同定を試み、mitochondria局在のcitrinと名付けたタンパク質をコードする遺伝子に変異を発見した。CitrinはGEPとのfusion proteinとして細胞に発現させ、その細胞内局在がミトコンドリアにあることを確認した。また、抗体を用いた実験から、ASSとcitrinはいずれも肝細胞に局在することを確認した。現在直接相互作用するタンパク質の検索をyeast two hybird解析法で解析しているが、まだ適切な候補者を見い出し得ていない。また、ASSと次のステップを触媒する酵素であるargininosuccinate lyase(ASL)の間にはyeast two hybird system及び表面プラズモン共鳴装置でも直接の相互作用を発見できなかった。Citrin欠損によってASSが減少することからcitrinは何らかの機構でASSの安定性に関与することは明らかで、本新規タンパク質の機能を明らかにすることによって尿素サイクルの組織化の実体が明らかになるものと考える。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 佐伯 武頼: "尿素合成"肝臓病学. 186-193 (1998)
-
[Publications] Keiko Kobayashi et al.: "The gene mutated in adult-onset type II citrullinaemia encodes a putative mitochondrial carrier protein"Nature Genetics. 22(2). 159-163 (1999)
-
[Publications] 小林圭子、佐伯武頼: "シトルリン血症"臨床検査. 43(7). 798-805 (1999)
-
[Publications] 小林圭子、佐伯武頼: "成人発症II型シトルリン血症遺伝子のポジショナルクローニング-Homozygosity Mappingによる責任遺伝子座位の探索を中心にして-"日本マス・スクリーニング学会誌. 9(3). 83-91 (1999)
-
[Publications] David S Sinasac et al.: "Genomic Structure of the Adult-Onset Type II Citrullinemia Gene,SLC25A13,and Cloning and Expression of Its Mouse Homologue"Genomics. 62. 289-292 (1999)