1998 Fiscal Year Annual Research Report
セルカリア皮膚侵入時の酵素分泌に関するシグナル伝達系におけるカルシウムの役割
Project/Area Number |
10877044
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
勝又 達哉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10284712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 康教 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (10209083)
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Keywords | 住血吸虫 / セルカリア / シグナル伝達 / カルシウム |
Research Abstract |
リノール酸刺激による住血吸虫セルカリアの皮膚侵入をひきおこすシグナル伝達におけるカルシウムイオンの役割を明らかにすることを目的として研究を行った。マンソン住血吸虫セルカリアにカルシウム感受性蛍光色素(Fura-2/AM)を負荷して,セルカリアの各器官(プレアセタブラルグランド,ポストアセタブラルグランド,ヘッドグランド,コレクテイングダクト,フレームセル,セレブラルガングリオン,ナーブコード,マスクラルヲール)の細胞内カルシウム濃度を,細胞内カルシウムイオン濃度画像解折システム(ARGUS-50/CA)を用いて測定した.カルシウムイオノフォア(Ionomycin)による細胞内カルシウム濃度上昇とカルシウムキレート剤(BAPTA-AM)による細胞内カルシウム濃度低下を確認することで測定法の信頼度が確認された.観察した各器官の内でプレアセタブラルグランドの細胞内カルシウム濃度がリノール酸刺激直後より上昇を開始し,60分後にピーク値に達し,以後暫減したが6時間後においても刺激前より高値を示すことが判明した。このことで,リノール酸刺激を受けてプレアセタブラルグランドが活性化することが細胞レベルで明らかとなった。今後,細胞内情報伝達に関与する種々の物質(カルモジュリン阻害剤,プロテインキナーゼ阻害剤,環状ヌクレオチド,Gタンパク質阻害因子,ホルボールエステル)との併用実験によりリノール酸刺激から酵素分泌にいたるまでの情報伝達経路におけるカルシウムイオンの役割を明らかとしたい。
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