1998 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスの脳微細構造に与える影響-光学計測を中心にして-
Project/Area Number |
10877061
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 助教授 (00157025)
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Keywords | 光学計測 / ストレス / 海馬 / 長期増強 |
Research Abstract |
本研究ではストレス負荷による神経細胞の形態学的変化ならびに信号伝搬機能の変化を光学計測の手法を用いて観察する計画である。今年度は,これらの光学手法を実現するために,より取り扱いが容易である海馬スライスの培養法(オーガノティピックカルチャー)の確立に努めた。培養切片は,動物から取りだしたものよりも薄く(300μmに対して100μm)表面の死んだ細胞がないため,対象の細胞が判別しやすい。また,1匹のラットから5から10枚を取りだし培養すれば,任意の時に使えるので,毎回解剖する煩雑さを回避することができる。オーガノティピックカルチャーには,比較的取り扱いが容易なフィルターメンブレイン法を採用した。生後2〜3日齢の雄性ラットの海馬を摘出し,スライスを作成した後,培養液に下面を接した多孔性フィルター上に静置した。培養容器は35℃,5%CO_2に保ったインキュベーター内に移し,4週間以上にわたり培養を試みた。Propidium Iodide(細胞死により蛍光を発する)を指標にconfocal顕微鏡で観察をしたところ,コンタミさえなければ3週間程度は生存することが確認された。一方,海馬オーガノティピックカルチャーを用いて,高速撮影装置Deltaronにより信号伝搬機能の観察も試みた。その結果,長期増強に伴い,振幅及び反応面積の有意な増大が認められた。次年度はこれらの成果をふまえ,ストレス負荷ラットあるいは糖質コルチコイド投与中の海馬を対象にした計測を実施し,報告書としてまとめる。
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Research Products
(1 results)