2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化社会における保健・医療・福祉の総合的医学教育方法の開発
Project/Area Number |
10877071
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
山根 洋右 島根医科大学, 医学部, 教授 (60032182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩飽 邦憲 島根医科大学, 医学部, 助教授 (10108384)
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Keywords | 医学教育改革 / コミュニティ基盤医学教育 / 保健・医療・福祉統合教育 / 学生主体・問題解決型教育 / 家庭医学実習 / プライマリヘルスケア / コミュニティヘルス / 高齢化社会 |
Research Abstract |
公衆衛生学関連教育は、医療改革に対応し教育戦略と方法の変革が社会的ニーズとなっている。本研究では、医学生に対し「主体的問題解決型教育」「保健医療福祉の統合教育」「感性とコミュニケーション能力の開発教育」を特徴とした「地域コミュニティ基盤実習教育」を23年間展開し、21世紀にむけた公衆衛生教育理論と技術開発を行った。 具体的には、医学生2人が1組となり1年間定期的に大学の存在する出雲市内の家庭(要介護老人家庭、独居老人家庭、障害者家庭、通常家庭など)を訪問し、家庭健康管理実習(Family Health Practice)を行った。さらにコミュニティの健康福祉問題を自主研究として取り組み、コミュニティヘルス調査研究(Community Health Practice)を行った。さらに希望学生に対しては、精神病院体験入院、福祉施設におけるケアマネージメント、市立診療所・福祉施設におけるプライマリケア実習などを選択コースとして行った。 このコミュニティ基盤教育の評価を行った結果、地域社会の住民、諸保健医療福祉施設、行政、医師会など社会的資源を充分有効に活用できること、病院では困難な住民の健康と疾病の自然誌を理解することができること、住民や保健医療福祉スタッフとのコミュニケーション能力が磨かれ、将来医師となった時に協働すべき他職種とのパートナーシップを確立することができること、プライマリヘルスケアの重要性や家庭医学と公衆衛生との連携の重要性などを認識することができることなど、今後の公衆衛生教育の有効な教育モデルであることを明らかにした。 今後の課題は、大学の独立行政法人化に対応し、個性ある大学教育の一環として地域ニーズに対応した医学教育システムを全国の大学がコミュニティの中に構築することであろう。
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[Publications] 山根洋右 他: "出雲市健康文化都市づくりにおける補助器具センター構想"Gerontology new horizon. 13(1). 101-109 (2001)
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[Publications] 塩飽邦憲 他: "21世紀の医学看護学福祉学教育への提言"医学看護学教育学会誌. 9. 2-5 (2000)
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[Publications] 乃木章子 他: "生活習慣病増加に対応した栄養士教育の課題"医学看護学教育学会誌. 9. 28-32 (2000)
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[Publications] 樽井恵美子 他: "卒後2年目看護婦の病棟における継続教育(1)看護理論や事例検討による個別指導"医学看護学教育学会誌. 9. 33-35 (2000)
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[Publications] 山根洋右: "21世紀を拓く農村医学の戦略と展望農村医学に何が問われているのか"日本農村医学会雑誌. 48(6). 790-804 (2000)
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[Publications] 塩飽邦憲: "地域の保健福祉活動を住民とともに国際的視野でみる好機に-「高齢者介護」国際研修をうけ入れて"公衆衛生情報. 30(4). 49-51 (2000)