1998 Fiscal Year Annual Research Report
加齢に伴うテロメアDNAの短小化を利用した、法医学領域での年齢推定
Project/Area Number |
10877076
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
斎藤 久子 千葉大学, 医学部, 助手 (10292674)
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Keywords | DNA / テロメア / ヒトテロメアDNA / テロメア長 / 法医学 / 年齢推定 |
Research Abstract |
ヒトテロメアDNAとは、3′側がテロメア末端に向かう鎖がTTTAGGの6塩基リピート構造のことである。このテロメアDNAの長さ、つまりテロメア長が老化に伴い短小化していくことを、法医学的領域での年齢推定に応用できるかどうかを検討している。現段階での課題は、テロメア長測定に最も適したDNAの抽出・精製である。まず、健康人の末梢血から、フェノール・クロロホルム抽出とエタノール沈殿の5通り、市販のキット(WakoのDNA Extractor WB Kit、TaKaRaのGenとるくん)2種類を用いてDNA抽出を行った。大量の血液を扱う場合は、赤血球の溶解後、白血球層のみを取り出し、フェノール・クロロホルム抽出とエタノール沈殿を行う方法が、高分子量・高純度のDNAを抽出でき、収率が最も高かった。微量の場合は、市販のキット2種類を用いたが、抽出したDNAのサイズ、純度、収率などに、明らかな差はみられなかった。また、その他の試料としては、数年前の歯科治療時に抜去された、年齢・性別既知の歯牙を用いた。粉砕した歯牙を0.5M EDTA溶液で脱灰後、フェノール・クロロホルム抽出とエタノール沈殿によるDNA抽出を行ったが、部位、歯種によってばらつきはあるものの、歯髄の乾燥により歯髄細胞の腐敗及び自己融解が進行していたため、回収されたDNAのほとんどは低分子量であった。今後は、幅広い年齢層の健康人の末梢血からフェノール・クロロホルム抽出とエタノール沈殿によるDNA抽出を進めながら、これらのDNAを用い、(TTTAGG)nプローブには、ジゴキシゲニン、ビオチン、蛍光物質、ペルオキシダーゼなどの標識法を検討しながら、非放射性システムによるサザンハイブリダイゼーションを試みる予定である。
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