1999 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維症進展過程における細胞形質変化機序の遺伝子レベルでの解明―α平滑筋アクチンプロモータトランスジェニックマウスを用いた検討―
Project/Area Number |
10877098
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
守山 敏樹 大阪大学, 健康体育部, 講師 (30283815)
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Keywords | CArG / ゲルシフトアッセイ / one hybrid system / SRF / 転写因子 / intron |
Research Abstract |
昨年度に我々は、ヒトSMαA遺伝子5'上流-891bpおよびintron 1すべてを含む系統(891int-CAT)に加え5'上流-1231bpおよびintron 1を含むもの(123int-CAT)、また891int-CATからintron 1中の約3.3kb(891intΔBH-CAT)、および137bp(891intΔ0-CAT)を欠失させた合計4系統のトランスジェニックマウスを製作した。これらのマウスにおけるCAT発現を解析したところ平滑筋特異的発現および腎糸球体病変におけるSMαA遺伝子発現には intron1の配列、特にCArG#0 motif 周辺の配列が必須であることが明らかになった。この結果をふまえて、このうち891int-CAT および891intΔ0-CATに対してブレオマイシン投与を行い線維化病変を作製したところ、前者のみにSMαA発現部位に一致してCAT発現を認めた。この結果は腎糸球体病変でのSMαA発現に必須であることが明らかとなったCArG#0 motif 周辺の配列が肺線維化病変でのSMαAの発現にも必須の役割を果たすことを示している。今年度は同部位に結合する転写調節因子を同定するためにCArG#0 motif 周辺をプローブとしてゲルシフトアッセイを行った。その結果、2本のシフトバンドを認めそのうちの1本はc-fos遺伝子のSREであるCArG配列で競合阻害を受けること、そして杭SRF抗体添加によりスーパーシフトすることから、このバンドがSRF-CArG複合体であることが明らかとなった。現在、もう1本のバンドを形成するDNA結合蛋白質を同定する目的で酵母one hybrid systemによるcDNAクローニングを進めている。今のところ5種類のDNA結合蛋白質のcDNAクローンが得られている。現在これらの遺伝子産物の線維化病変における発現変化の解析を進めるとともに、培養細胞を用いて発現レベルを強制的に変化をさせた際の細胞形質変化の検討を開始している。以上から、肺線維化病変の分子病態が明らかとなり、さらに新たな治療戦略への道が開けることが期待される。
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