1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しいラット脳梗塞モデル(前脈絡叢動脈閉塞)の作成およびその応用に関する研究
Project/Area Number |
10877104
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
山脇 健盛 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (10166837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成富 博章 国立循環器病センター, 内科脳血管部門, 部長 (60132932)
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Keywords | ラット / 脳虚血モデル / 中大脳動脈 / 前脈絡叢動脈 / ナイロン系 / 穿通枝梗塞 |
Research Abstract |
【目的】 脳梗塞の半数は穿通枝系に生じるが、これまで穿通枝系に限局した再現性の良い脳虚血モデルは知られていない。ナイロン糸を用いて中大脳動脈(MCA)を閉塞することなく、大脳深部領域虚血モデル作成を試みた。 【方法】 実験には45匹の雌wistarラット(体重232-296g)を用いた。26匹では、麻酔下に右総頚動脈より外科用3-0ナイロン糸(SS)(外径0.24mm)を抵抗を感じるまで挿入し、そこから2.0mm引き抜き留置した。12匹では同様にナイロン釣糸(FL)(外径0.285mm)を導入し、頚動脈分校部から17mmの位置に留置した。虚血72h後に断頭し、前頭極より2mm厚の連続脳切片を用いてTTC染色を行い、梗塞巣の分布の検討、体積の計算、糸先端位置の確認を行った。また6μ厚の切片を作成し、H&E、TUNEL染色にて組織学的検索を行った。他の7匹ではSSを13mm挿入しShan群とした。 【結果】 SSでは、内包を中心とした前脈絡叢動脈(AChA)領域のみの梗塞が13匹、完全または部分的MCA梗塞が7匹、脳梗塞なし5匹、死亡1匹であった。SS先端とMCA分岐部の距離はAChA梗塞の場合は0.5-2mm.MCA梗塞の場合は羽先端がMCA分技部に止まるか0.5-1mm越えていた。脳梗塞なしの場合は2mm以上であった。孔では12匹中2匹でのみしかAChA領域梗塞を作成できなかった。 【結論】 本法で実験的に大脳深部構造の梗塞を作成することを試みたところ、SSを用いると成功率は50%であった。本法により選択的深部領域梗塞を作成することが可能であることが判明した。 【今後の展開】 SSを用いて、留置位置をさらに検討しAChA梗塞の再現性を向上させると共に、本モデルを用いて実験的脳虚血時の体温上昇について検討を行う。
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