1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルス サイミリを利用した血球貪食症候群Tリンパ球の解析
Project/Area Number |
10877120
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊田 英明 北海道大学, 医学部, 助教授 (30271654)
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Keywords | EBV / HVS / HPS |
Research Abstract |
Epstein-Barrウイルス(EBV)が原因による血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome ; HPS)患者3例の末梢血の単核球にヘルペスウイルス サイミリ(HVS)を感染させ、4種類のリンパ芽球株を樹立した。患者1からは、B及びTリンパ芽球株両方が樹立された。そのBリンパ芽球株には,EBVが存在していたが、HVSは存在していなかった。EBVの潜伏EBV関連遺伝子のmRNAは、EBNA-1、EBNA-2、LMP-1、EBER-1などは発現していたが、LMP-2Aは発現していないという,今までに報告のない特殊な潜伏感染の型を示していた。私が知り得た限りでは、EBVが原因によるHPSからEBV感染リンパ芽球株が始めて樹立された始めての例である。HVSがEBVによるトランスフォーメーションを助けた可能性も考えられる。今後、EBV感染リンパ芽球株を樹立を増やし、特にEBVのLMP-2A DNA自体、及びその発現に異常があるか否か検討する予定である。患者2,3からはTリンパ芽球株のみが樹立され、Bリンパ芽球株は樹立されなかった。患者1,2,3の3種類のTリンパ芽球株には、HVSのみが存在していた。HPSではEBVがTリンパ球に感染していることが知られているが、これら、3種類のTリンパ芽球株には、残念ながら、EBVは存在しなくEBVを救出できなかった。これらTリンパ芽球株はIFN-γ、IL-5,IL-10,TNF-αのサイトカインmRNAの発現がみられたが、IL-2,IL-6の発現はみられなかった。しかし、正常健康人にHVSを感染させ樹立されたTリンパ芽球株との間にサイトカインmRNA発現に優位な差は認められなかった。今後、更にこの研究を継続して行っていく計画である。
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