Research Abstract |
本研究は,デュシェンヌ型筋ジストロフィー症(DMD)の手指変形の予防・遅延を目的として,sp1intによる機能的肢位保持の影響や効果について上肢機能やADL能力から検討した。 (1) 先ず,DMD児13人(上肢ステージV-VII,平均11.2歳)の手指変形をデジタルビデオカメラ(設備備品費を使用)で(1)過伸展変形:4人,(2)スワンネック変形:5人,(3)内転母指変形4に分類した。ただし,母指変形と手指変形は混在していた。 (2) 次いで,分類した変形手指に対して熱可塑性樹脂(消耗品費を使用,国内旅費の一部,謝金,その他を転用)を用いて虫様筋カフ,背側支持型MP関節伸展保持副子,母指対立保持副子,MP関節伸展制限付き短対立副子,MP関節屈曲制限付き短対立副子等のsp1intを作成し,14日間の安静時に装着した。 (3) sp1int装着の前後の各種データをパーソナルコンピュータ(設備備品費を使用)で比較したところ,(1)手指・上肢の関節可動域は変化無し,(2)握力は変化無し,ピンチ力は微少低下(平均0.06Kg),(3)萎縮・短縮筋は変化無し,(4)各種物体の把持は機能低下,(5)簡易上肢機能検査は平均30秒の遅延,(6)日常生活動作(機能的自立度評価)は変化無し,であった。 (4) 以上の結果から,DMD児の手指変形に対するsplintの装着は機能的には変化が無いが,能力的には手指・上肢の使用方法が習慣的に獲得されているために不良な影響を与えることが示された。しかし,今後は対象児を増やし,装着期間を延長し,ざらにリハビリテーション訓練を利用するなど,さらに検討したい。なお,データの検討に当たっては資料の収集を行った(国内旅費を使用)。
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