1998 Fiscal Year Annual Research Report
造日幹細胞移植による異染性ロイコジストロフィーの遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
10877127
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
大木 由加志 日本医科大学, 医学部, 助教授 (20160442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
右田 真 日本医科大学, 医学部, 助手 (50256963)
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Keywords | MLD / AAVベクター |
Research Abstract |
異染性白質ジストロフィー(MLD)は、リソゾーム酵素の一種であるアリルサルファターゼA(ASA)の欠損による常染色体劣性遺伝の先天性代謝異常症である。MLDに対しては現在のところ根治療法はない。本疾患は有髄神経の脱髄が主病変であり有効な遺伝子治療を達成するためには髄鞘の形成、保持を担うoligodendrogliaへの遺伝子導入が必要である。今日汎用されているレトロウイルスベクターと比べアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターでは神経系細胞への安定した遺伝子導入が可能と考えられる。そこで我々は治療用遺伝子としてASAcDNAを、マーカー遺伝子としてEGFPcDNAを有するAAVベクタープラスミドを作製した。このAAVベクターはベクタープラスミドとパッケージングプラスミド(AAV/Ad)とを同時にHeLa細胞にトランスフェクションし、さらにアデノウイルスを感染させ作成した後に、硫酸セルロースを用いたアフィニティクロマトグラフィーにより精製、濃縮し感染実験を行った。HeLa細胞におけるGFPの発現をEACSで検討したところ、約6%の細胞がGFP陽性であり、ASA酵素活性は非導入細胞に比較し1.6倍の増加を認めた。さらにこのベクターがMLD患者由来の皮膚線維芽細胞へも導入が可能であることを確認した。以上のことよりこのAAVベクターはMLDをはじめ神経症状を呈する先天性代謝異常症に対する遺伝子治療のための期待されるベクターシステムと思われた。
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