2000 Fiscal Year Annual Research Report
MR拡散強調法を用いた脳器質病巣の描出と変化の推移
Project/Area Number |
10877143
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
榎本 京子 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50232963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平敷 淳子 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60008589)
渡部 恒也 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (50056313)
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Keywords | Brain / MR / Diffusion / Epilepsy / Myelination |
Research Abstract |
第一点は急性期の癲癇重積発作症例30例の脳MRI撮像時に拡散強調法を応用し、本病態において拡散強調法が臨牀に寄与する意義を研究し、良好な結果を得た。本病態において拡散低下領域画像上でbright areaとして描出された。病巣部位がT2強調画像において高輝度信号を呈する例もあったが、ほとんどの症例ではTl-,T2強調画像上で異常信号領域は指摘されなかった。拡散強調法で描出された病巣部位は神経学的所見と高率に一致した。従来、同疾患の急性期では、神経症状が明らかであってもMRI画像上に描出されない場合があり、画像上での診断に苦慮する場合があったが、拡散強調法はこれを補う手段としての有用性が確率された。また病巣部位の分布から、予後の予測も可能であった。白質を中心とした病変の分布は不可逆性で、慢性期には脳萎縮を伴う場合が多く、灰白質を中心とした病変では可逆性であることが多く、臨牀的にも予後は良好であった。 第二点として同方法を髄鞘形成過程の小児100例に応用することで、成人とは異なった白質線維束の異方性を描出できた。生後3ヶ月まではX,Y,Z各方向に印加したパルスに特有の異方性が見られた。また放線冠や脳梁内部には複数の異方性をもつ線維束の存在が指摘された。その後観察される線維束は成長と供に減少するが、減少のピークは3-4と7ヶ月の二峰性を示した。この減少の原因は脳発達に伴い、線維束内部の自由水分含有量の減少が考えられた。減少過程は髄鞘形成とは完全には一致せず、髄鞘形成とは異なった脳発達過程の評価となる可能性が示唆された。正常新生児、乳幼児で得られたこの結果をもとに発達遅延のある各種脳神経疾患症例に応用した。正常異方性の減少はachondroplasiaなどで観察された。これらの症例では通常のMRI画像上では脳実質の信号異常は観察されず、今後精神発達遅延原因解明への寄与が期待される。
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