1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10877150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武本 一美 京都大学, 医学研究科, 助手 (40263165)
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Keywords | 妄想評価 / 妄想定義 / 言語使用 / 思考阻害 / 分析哲学 |
Research Abstract |
1, 妄想の定義に関係する文献、言語論に関する文献を収集・整理した。このために、補助金により購入されたパソコン・スキャナー・MOドライブを使用した。言語学や分析哲学の諸理論の検討から、妄想を意味論的に扱うには患者の話の中のsentenceの構造分析を中心に据えるべきであることがわかった。 2, 被験者に対する本研究への協力同意書を作成した。 3, 妄想と思考障害の識別・妄想と単なる思い違いとの識別は、理論的にも実際上も非常に難しい。その弁別のために、常識・見当識のテスト及び論理的思考能力のテストを構成した。これらのテストは、WAIS-Rなどの既に十分標準化された知能テストから抜粋・簡略化したものである。 4, 研究に協力することに同意した被験者に対して、上記の諸テストを施し、その陳述を補助金により購入されたテープレコーダーに記録した。 5, 上記テープレコーダーの記録から妄想と正常の陳述を同定し、双方をそれぞれ一定量研究補助者によりパソコンに入力し、MOに保存した。 6, 平成10年度の研究では、確信の表現の仕方が妄想においては独特である可能性が示されたが、未だ被験者数が十分ではなく平成11年度以降の研究の進展にまつところが大きい。 7, 現在のところ最も新しいSpitzer.Mの妄想定義は、妄想と錯覚の区別がつきにくくなる難点がある。妄想の定義が本研究の課題の一つであるので平成11年度は錯覚の問題も検討事項に入れる予定である。また、妄想を語る時の声の音声学的な分析も、妄想を客観評価するためには有効であると思われるので今後の課題としたい。
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