1998 Fiscal Year Annual Research Report
移植片対宿主病(GVHD)に関わるマイナー組織適合抗原の同定
Project/Area Number |
10877162
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 真一郎 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (50160718)
池田 康夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00110883)
池田 英之 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (40301494)
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Keywords | 白血病 / マイナー組織適合抗原 / GVH / GVL / 免疫療法 / T細胞 / cDNA発現クローニング / 骨髄移植 |
Research Abstract |
平成10年度は、骨髄移植後の白血病患者のドナー由来末梢血リンパ球から移植前の患者細胞に反応するマイナー組織適合抗原特異的T細胞の樹立を試みた。対象は、平成9年11月から平成11年1月までに施行された27例の骨髄移植であり、その内11例が血縁者間移植であった。レシピエントの疾患は、急性骨髄性白血病7例、急性リンパ性白血病3例、慢性骨髄性白血病7例、多発性骨髄腫2例、再生不良性貧血2例であった。これらの骨髄移植前の患者およびドナー末梢血単核球を分離し、その一部からEBV(Epstein-Barr virus)トランスフォームB細胞株の樹立を試み、残りを凍結保存した。またT細胞樹立後にマイナー組織適合抗原の組織特異的発現を検討するために、可能な場合は患者皮膚切片から線維芽細胞の樹立を試みた。殆どの患者で、化学療法または放射線療法の影響でリンパ球数の減少と機能低下が認められたが、13例でEBV-B細胞株の樹立に成功した。このうち6例においてin vitroで移植後の患者から採取した末梢血リンパ球を、移植前に凍結保存した患者末梢血単核球あるいは患者EBV-B細胞株で刺激することにより、患者血液細胞に発現するマイナー組織適合抗原を特異的に認識するT細胞を誘導することを試みた。6例中4例において34回刺激後に ドナー由来のEBV-B細胞を認識してIFN-γを産生するT細胞が検出された。そのうち1例では限界希釈法によるT細胞クローニングを試みたが、T細胞クローンは樹立できなかった。平成11年度はマイナー組織適合抗原特異的T細胞の樹立を継続し、T細胞クローンの樹立を試みる。特異的なT細胞が樹立できた場合、cDNA発現クローニング法を用いて対応抗原遺伝子の単離を試みる。
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