1998 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ管増生因子・増生因子レセプターからみた消化器癌リンパ節転移機構の解明
Project/Area Number |
10877183
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟根 雅章 京都大学, 医学研究科, 助手 (80303832)
高林 有道 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00226911)
山内 清明 京都大学, 医学研究科, 助手 (00291427)
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Keywords | 消化器癌 / リンパ行性転移 / 血管内皮増殖因子 / 血管的皮増殖因子レセプター / リンパ管増生 |
Research Abstract |
腎癌、大腸癌臨床検体18症例について、RT-PCRを用いてVEGF-CとFlt4の発現を検討した。リンパ管増生因子であるVEGF-Cの発現は、約半数の癌部と正常部にみられた。Flt4は胃では約30%、大腸では約15%の組織に発現していた。これまでのところリンパ節転移との相関は明らかでないが、今後RT-PCRの条件等の最適化を行い、さらに多くの症例について検討を進めて行く方針である。 マウスモデルにてFltt4の検出及び阻害実験を行うため,抗マウスFlt4モノクローナル抗体を作成した。マウスFlt4免疫ラットの牌リンパ球より、細胞融合法によって抗マウスFlt4抗体産生ハイブリドーマを作成し、高力価抗体産生クローンを得た。この抗体がウェスタンブロッテリングにて195kDの正しい抗原を認識すること、Flt4とそのリガンドであるVEGF-Cとの結合をin vitroで競合的に阻害することを確認した。この抗体をもちいて、マウス胎仔の発生段階での発現パターンを調べた。リンパ管特異的と考えられていたFlt4は、胎仔では動脈、静脈、リンパ管全ての脈管系に一過性に発現していた。発現の時期はそれぞれの脈管によって異なっており、最終的にリンパ管のみに弱い発現を残していた。従って、Flt4はリンパ管のみならずすべての脈管系や形成において何らかの役割を担っていることが明らかになった。 マウス血管内皮細胞株F-2がin vitroで細胞外基質依存性に管腔形成などの分化を示す系を用いて、内皮細胞の分化におけるFlt4の役割を検討した。マトリゲル存在下では培養液に抗マウスFlt4モノクローナル抗体を加えることによって管腔形成が阻害された。したがって、Flt4は内皮細胞分化にも重要な役割があることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)