1998 Fiscal Year Annual Research Report
上皮増殖因子受容体のアンチセンスを用いた肝癌の治療
Project/Area Number |
10877191
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10135577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 清明 京都大学, 大学院医学研究科, 助手 (00291427)
山岡 義生 京都大学, 大学院医学研究科, 教授 (90089102)
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Keywords | 肝癌 / 上皮増殖因子受容体 / 腫瘍増殖因子-α受容体 / アンチセンス / 低酸素 / サイクリン / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
癌のmicroenvironmentである低酸素で高EGF受容体結合能を示す肝癌細胞Hep3Bに、lipofectionを用いEGF受容体遺伝子のantisenseを導入すると、そのEGF受容体結合能を約50%まで低下させるζとができた。しかしEGF受容体は正常肝細胞にも存在し、多種の生理機能に関与していると考えられることから、.腫瘍特異的な遺伝子発現法が不可欠であり次にそれを検討することとした。 まず癌のmicroenvironmentである低酸素環境を利用した遺伝子発現法を試み、低酸素誘導遺伝子の転写調節因子hypoxia inducible factorの結合する低酸素応答エレメント下流に低酸素誘導遺伝子のひとつであるエリスロポエチンのプロモーターおよびレポーター遺伝子としてジフテリア毒素のA fragmentをligationしたプラスミドを作成した。これをCMV-luciferaseプスミドとco-transfeεtionし、常酸素下と低酸素下のluciferase活性で細胞生存率を比較することにより低酸素によるジフテリア毒素A fragment遺伝子の誘導を検討したが、細胞生存に、酸素環境による差が認められなかった。ジフテリア毒素A framgmentは一分子でも細胞殺傷能を示し、この強い毒性のため低酸素応答エレメントに依存する遺伝子発現の差が検出できない可能性を考慮し、毒素活性が35分の1、および120分の1のジフテリア毒素A fragment mutantをligationしたプラスミドも作成し、常酸素下と低準素環境下での遺伝子発現を比較したが、細卿生存に酸素環境による差が認められなかった。 そこで現在は腫瘍特異的な遺伝子発現法として細胞増殖依存性の遺伝子発現を試みる予定である。正常肝では肝細胞はG0期にあることからGl-S期に働くサイクリンのプロモーターを利用しての腫瘍特異的な遺伝子発現法を考慮中であり、preliminaryながら細胞増殖依存性に遺伝子発現が起こっている結果が得られている。今後はこのプロモーターを利用した遺伝子発現系を用い腫瘍特異的にEGF受容体のantisenseを導入することにより、癌のmicroenvironmentにより結合能が高くなる肝癌細胞のEGF受容体をプロックする系の完成を目指す予定である。
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