1998 Fiscal Year Annual Research Report
超音波エネルギーを応用した癌性腹膜炎の新しい治療法の開発
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10877197
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山口 俊晴 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90111327)
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Keywords | 超音波 / 癌性腹膜炎 / 治療 / 消化器癌 |
Research Abstract |
1. in vitroにおける癌細胞破砕実験:細胞破壊用の超音波発生装置を用いて、in vitroにおける検討を行った。培養ヒト癌細胞SW1116(大腸癌)、MKN(胃癌)、HPC-YS(膵癌)の浮遊液に、強度、照射時間を変えて超音波照射した。その結果、20秒以内に全ての癌細胞は破砕され、形態学的に完全な形状を保持した細胞は皆無となった。破砕された細胞をヌードマウス皮下に移植したが、いずれも生着しなかった。また、癌細胞の種類による差は認められなかった。 2. 実験動物における腹腔内癌細胞破砕実験:ヌードマウスの腹腔内に癌細胞を移植し、30分後、24時間後、48時間後に開腹して、生食水を満たし超音波照射による細胞破砕実験を行った。in vitro同様、癌細胞は破砕されたが、有形の細胞が完全に消失するまでには、3回以上の洗浄と超音波照射が必要であった。その後、全てのマウスは腹腔内に転移巣を形成し死亡したが、30分後に洗浄照射した群の生存期間が最も長かった。 3. 正常組織への傷害性の検討:マウスを全身麻酔下に開腹し、超音波照射したのち経日的に犠牲死させ、正常組織への傷害性を組織学的に検討した。その結果、照射により軽度癒着が増強するものの、単開腹群と大きな差は認められなかった。また、癒着は金コロイドの存在下で増強されたが、犠牲死させるまでに、腸閉塞などで死亡する例は無かった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 山口俊晴: "サイトカイン・ケモカイン" 外科. 60. 1458-1461 (1998)
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[Publications] 山口俊晴: "直腸癌の集学的治療" 日本醫事新報. 3849. 33-36 (1998)
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[Publications] YAMAGUCH, T: "Changes in expression of the antigen recognized by monoclonal antibod A7" CANCER LETTERS. 126. 165-172 (1998)
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[Publications] OTSUJI, E.: "Recent advances in surgical treatment have inproved the survivcl of patients with gastric carcinoma" CANCER. 82. 1233-1237 (1998)
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[Publications] 大辻英吾: "モノクローナル抗体結合抗癌剤を用いた膵癌に対する腫瘍内局注療法の有用性" 癌と化学療法. 25. 135-137 (1998)
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[Publications] 大辻英吾: "キメラ化A7-Fab分画結合Neocarzinostatinのヒト膵癌に対する抗腫瘍効果" 癌と化学療法. 25. 1775-1777 (1998)
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[Publications] 山口俊晴: "癌転移" 渡辺寛・清水元治編医薬ジャーナル社, 351 (1998)
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[Publications] 山口俊晴: "癌転移のメカニズムと癌治療" 入村達郎・中島元夫編羊土社, 206 (1998)