2000 Fiscal Year Annual Research Report
大動脈弓部病変に対する,経カテーテル的ステントグラフトによる治療法の開発
Project/Area Number |
10877202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 俊哉 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80262004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小塚 裕 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (10126055)
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Keywords | 超薄型人工血管 / ステントグラフト / 大動脈弓部 |
Research Abstract |
超薄型人工血管を用いたステントグラフトの胸部大動脈(弓部,下行大動脈)における実験的検討 【背景】ステントグラフト治療は,high riskの大動脈瘤症例を中心に行われるようになってきた.しかし,従来の器材では,シースが太くなり末梢動脈からのアプローチが困難である.また屈曲部や枝のある部分への留置は極めて困難である.これら問題の解決には,新しい器材の改良が必要である.【目的】試作した超薄型人工血管(壁厚75μm,有孔度380ml/cm^2/min/120mmHg)を用いたステントグラフトの生体内での長期的な組織適合性を明らかにすること.また,同ステントグラフトの大動脈弓部へのアプローチについて検討すること.【方法】雑種成犬を用い,下行大動脈に自己大腿動脈パッチを2か所縫着.そのうち1か所に試作のステントグラフトを留置し,6か月後に組織学的検査をおこなった.また,他の成犬を用い,試作した枝付人工血管で作製したステントグラフトを,外腸骨動脈から透視下に大動脈弓部に留置を試み、血行動態を観察した.【結果】下行大動脈に留置したステントグラフトの開存,新生血管内膜の発育は良好であった。パッチ縫着部は,ステントグラフトのない部分で瘤化を認めたが,ステントグラフト部では瘤化は認めなかった.また,大動脈弓部へのアプローチではシースの改良により,弓部分枝への人工血管枝の挿入を含め大動脈弓部への留置は可能であったが、動脈内壁との固定が悪く,グラフトの拡がりが不十分であった.【結語】試作の超薄型人工血管を用いたステントグラフトは長期的な組織適合性および耐圧性も安定しており,下行大動脈など屈曲,蛇行の少ない部分への使用は可能であると思われた.当教室では,これらステントグラフトを用いた治療は臨床応用され良好な結果を得ている.しかし,弓部へのアプローチにはステント,人工血管共にさらなる改良が必要である.
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[Publications] 江連雅彦,小塚裕,稲葉博隆,大塚俊哉 ほか: "超薄型人工血管を用いたstent graftの胸部大動脈における内挿術の実験的検討"日本外科学会雑誌. Vol99(Suppl). 458-458 (1998)
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[Publications] 小塚裕 ほか: "大動脈瘤に対するステントグラフト治療"Cardiac Practice. Vol11(2). 195-201 (2000)
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[Publications] 小塚裕 ほか: "ステントグラフトを使用した胸部大動脈置換術"循環器科. Vol48(1). 62-67 (2000)
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[Publications] 小塚裕 ほか: "大動脈瘤に対するステントグラフト治療の成績向上を目指した医療器具の開発と臨床応用"日本外科学会雑誌. Vol101(Suppl). 68-68 (2000)
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[Publications] Y.Kotsuka, et al: "Open Surgery Combined with Stent-graft Procedure for Aortic Arch Aneurysm"Cardiovasc Surg. Vol8(Suppl). 79-79 (2000)
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[Publications] 小塚裕 ほか: "弓部大動脈瘤に対するステント・グラフト併用Open surgeryの成績と問題点"日本胸部外科学会雑誌. Vol48(Suppl). 159-159 (2000)